内容説明
女は、いきなり甚助へつかみかかり、「何をしゃあがる」立ちあがった甚助に突き飛ばされると、「か、敵討ちの約束がまもれぬなら、わたした金を返せ、返せえ!!」白眼をつりあげて叫んだ。逃げ廻る甚助に旧知の平蔵は助太刀をするが、事は意外な方向に展開して行く。女心の奇妙さに、さすがの鬼平も苦笑い。花も実もある鬼平の魅力──「助太刀」。ほか「おしま金三郎」「二度あることは」「顔」「怨恨」「高萩の捨五郎」「寺尾の治兵衛」の全七篇収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
125
この巻には7つの話が収められています。男と女の話が結構楽しませてくれます。木村のあとを継ぐかに思われた細川も悪い癖が治らず鬼平にもとの仕事に戻されてしまいます。いろいろな話を考えられたのももうすぐ終わりになってしまいます。やはり人情話的なものがいいですね。2017/06/20
s-kozy
68
シリーズ20巻目。本作も短編が7篇。密偵が顔見知りの盗賊との恩義と自らの役目に葛藤する話がちらほら。その心情を慮ってさりげなくねぎらう長官の思いやりがなんともかっこいいですね。また、平蔵若かりし頃の高杉道場の師匠の言葉、「人という生きものは、だれしも多かれ少かれ、悪事をはたらいているものさ」など、趣深いセリフもちらほら、楽しく読書できるなぁ。そして、本作はあの江戸きっての剣客のお名前が出てくる。池波ファンは思わずニンマリですね。2015/07/06
ポチ
56
寺尾の治兵衛での五郎蔵の苦しみは、最後には平蔵の暖かい計らいで救われました。平蔵みたいな人には、心酔しちゃいますね(^^) 2017/06/17
酔拳2
41
安定の面白さ。各話の感想。おしま金三郎:女の執念に完敗。二度あるとこは:細川、またか…。顔:実は鬼平によくある超偶然。怨恨:その理不尽な恨み、世間では逆ギレと呼びますよ。高萩の捨五郎:捨五郎も農民も男だわ。それにひきかえ、旗本は…。助太刀:平蔵感が良すぎ。そして面白がりすぎ。寺尾の治兵衛:密偵の難しさ、鬼平の配慮の行き届いたことよ。2019/12/18
i-miya
38
2013.04.20(つづき)池波正太郎著。 2013.04.20 (細川峯太郎) 権之助坂の茶店の寡婦お長(ちょう)と情事を愉しみ、それを平蔵に発見された、その後は、細川、先輩同心の次女と結婚、うまくいく。 が、また発覚、それいらいきっぱり、しかし、墓参りもしなくなり、感得寺からは、病気か?と。 それでわざわざ平蔵に、非番にいくとことわった。 怖いもので、二度有ることは三度ある。 2013/04/20
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