内容説明
「つくづくとばかばかしく思うのだよ」なれど「このお役目が、おれの性にぴたりとはまっている」のである。清廉な心意気だけで悪行を取り締まることなどできない。俗を知り、人の本性を見据え、火盗改方の長官・長谷川平蔵は疲れをものともせず、また出動する。シリーズ中読者からの人気が高い、粋狂な鬼の平蔵の一面を描いた「大川の隠居」ほか「礼金二百両」「猫じゃらしの女」「剣客」「狐火」「盗賊人相書」「のっそり医者」の七篇収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
168
第6巻目は7つの短編が収められています。とくに「剣客」「狐火」は読みごたえがありました。「剣客」は鬼平の部下の師匠にからむはなし、「狐火」は女の密偵おまさが主人公のような感じです。両方とも中編ぐらいの感じで、人情味などがいつもながらあふれています。鬼平のような管理者がいたら今の時代もあまりぎすぎすしないのでしょうね。2017/05/13
ポチ
58
読めば読むほど鬼平に嵌ってしまう!ピリピリした緊張感とホッと息が抜け和む場面が何とも言えず素晴らしい。さあ、次巻だ!(^^)2017/04/20
s-kozy
49
7篇収録のシリーズ6巻目。キャラクターやストーリー展開がしっかりとしてきて、安心して楽しめる一冊でした。火付盗賊改方長官(おかしら)の役目が「おれの性(しょう)にぴたりはまっている」という平蔵、「四十をこえて、人の世がまことにおもしろくなってきて」とはなんとも幸せ者ですね。それにしても池波正太郎先生のお年寄りの形容がすごいです。「日増しの焼竹輪のような船頭(「大川の隠居」より)」とか「まるで沢庵の切れ端のような老爺(「盗賊人相書」より)とか、よく分からないながらも思わずニヤリとしてしまいます。2014/04/22
kinupon
40
つくづく、おまさは幸薄い人生を送るのかなと感じましたが、平蔵に見守られて仲間にも助けられて、本当は幸せな人生なのかなと思います。 大川の隠居は題名が好きです。2015/06/17
ともくん
37
安定していて安心して読める。 今回は、大捕物というよりは人情話のような気がした。 6巻だが、まったくマンネリせずに毎回、楽しませてくれる。2018/06/21