内容説明
はっと、平蔵が舟の中へ身を伏せた。荒屋敷の潜門がしずかに開き浪人風の男があらわれ、あたりに眼をくばっている。(これほどのやつがいたのか……)平蔵の全身をするどい緊張がつらぬいた。──密偵・おまさの窮地を救うため、ひとり敵地にのりこんだ平蔵の凄絶な剣技を描く「血闘」、のちの展開に大きな役目を果たすことになる、盗賊・大滝の五郎蔵が初登場の「敵」ほか、「霧の七郎」「五年目の客」「密通」「あばたの新助」「おみね徳次郎」「夜鷹殺し」の全八篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
193
この4巻目には8つの作品が収められています。短編ですが一つ一つの作品にさまざまな人々の人生が凝縮されて密度の高い作品になっています。テレビ化されたり映画化されるのも頷けます。佐藤隆介さんの解説がまたいいです。2017/05/06
KAZOO
99
もう何度目でしょうか。何度読んでも読書の愉しみを教えてくれます。人間関係がうまく描かれていることをいつも感じます。また主人公の人情味豊かな人柄が、盗賊の一味であった人物たちが密偵になったりしています。江戸時代の日常の生活や庶民の暮らしもよくわかります。2023/05/27
s-kozy
69
シリーズ4巻目。平蔵の厳しさと優しさを併せ持つ強烈なリーダーシップが火付盗賊改方と密偵達を上手くまとめている。こんなリーダーがいる組織は強いよなぁ。いいフォロワーも育っている。印象に残った台詞、「上杉さんはな、あの顔かたちで損をしつづけて来たのだ。世の中の人間の多くは、うわべだけで人の値うちをはかってしまうゆえ、な」(「霧の七郎」46頁)。そうそう、「矮躯(わいく)」(12頁)って「背丈の低い体」という意味なんですね。「痩せた体」かと思っていました。物を知らなくてすいません。2014/03/29
ポチ
62
平蔵の生き方、考え方が、男のモラルを貫き通そうとする姿であり、ハードボイルドそのものと解説にあったが、まさにその通り‼︎男ですね!おまさが惚れちゃうのも分かりますね!(^^)2017/04/11
こばまり
49
CS放送で吉右衛門さんを惚れ惚れと眺め鬼平読み再開。偶然にもその際に観た「あばたの新助」が収められていました。年を経る毎に鬼平の良さが沁みるを絶賛体感中。2015/12/09
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