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内容説明
儒家へのアンチテーゼとして生まれた墨家。その思想を読み解けば、「自分を愛するように他人を愛する=兼愛」、「自ら攻め入ることを否定する=非攻」など、驚くほど近代的な思想が見えてくる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
15
諸子百家で名前は聞くものの勉強したことがないと思い読んだ。『墨子』には科学的なことについて言及した部分があり、近年その面が評価され「科聖」と呼ばれているということを始めとして「兼愛交利」(自分を愛するようにお互いに他人を愛する)、それを守るための「非攻」(侵略戦争を阻止するため自ら先頭集団を組織して弱小国の救援に出動する)など、知らないことばかりであった。軍事技術について詳細な記述もあるという。儒家批判の面もあり派手な葬儀を慎む節約や、貴族階級の音楽をよくないとする主張も。鬼神を信じる面も意外だった。2025/02/06
4fdo4
14
墨子は読むたびに、身が引き締まる思いをする。 それは妥協が無いからだろう。墨子の思想は「ちょっとそれは無理じゃないか?」と現代では思う内容が散見される。しかし、それをもし実践できれば私は儒教よりも現代にマッチしている思想なのではないかと思う。特に博愛に関しては、東アジアの男尊女卑や年功序列文化と正反対であり、現代に即している。ただ、為政者に受け入れられにくいのも無理はない。 2021/06/26
記憶喪失した男
11
聖書より先に愛を説いていたんだな。2024/09/26
大先生
10
墨子の10大スローガン【①尚賢(身分に関係なく能力による人材登用)②尚同(それぞれの上位者に従うこと)③兼愛(自他・親疎の区別なく人を愛する)④非攻(強大国による侵略戦争の否定)⑤節用(費用の節約)⑥ 節葬(埋葬の簡素化を主張)⑦天志(天の意志の存在を主張)⑧明鬼(鬼神の存在を肯定)⑨ 非楽(音楽がもたらす弊害を主張)⑩ 非命(儒家の天命論を批判)】⑧はあるものの、合理的な印象です。墨家は一度諫めた以上はそれを貫徹し、聞き入れられなければ自ら死を選ぶという過激な発想のために忽然と消えてしまったそうです。2025/01/08
ukmsblue
9
「非攻」と「兼愛」。孔子の本来の意図はどうあれ、儒教は支配者のために使われてきた、都合の良い秩序原理、との感が強く、その儒家たちと対立した「墨家」についてはそれだけで興味をそそられた。君子に対する諫言を儒家は三度ダメなら臣が引けと説くのに対し、墨家は諫言である以上言い続けよ、とする点が対照的。生き抜くには前者のほうがよさそうなのは間違いないが、それゆえに墨家の激しさに魅かれる。2019/06/27