内容説明
変わらないもの、変わってゆくもの。からみあいながら、日々は続きます。『日々ごはん』(1)~(12)の続きは、『帰ってきた日々ごはん』として2015年発売。
<ある日の日記より>
グラウンドの芝生の上に座ってみた。今日は人もまばらで、犬の散歩をしている人が少しと、吹奏楽の練習をしているグループぐらいしかいない。遠くを見ても、小さい人が見えるだけ。あとは、どこまでもどこまでも空と芝生。景色の遠近感がなくなって、ふーっと自分もなくなりそうな感じになる。それで、ちょっと寝ころんでみた。平らな眩しい空。
私は、自分らしくとか、自分の中にある本当とか、そんなレベルの自由ではなくて、もっともっと遠くに行きたい。自分がなくなるほど自由になりたい。
(死ぬことではなくて)生きていることの中でそれをやってみたい。それはいったい何だろう。来年は、そのことについてちょっと追究してみよう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
30
この日記も8冊目。料理家はクリエイターだから、貪欲に吸収して自己更新する必要がある。一方で繰り返し食べていける、大地に根付いた様な料理にも著者は惹かれている。この乖離がオリジナリティの源だと思う。夫のスイセイ氏もまた強い創造性と肉体性を併せ持つ人物と捉えられており、似た者夫婦と言えるかもしれない。料理は野菜使いが益々巧みになってきた。「ひじきと水菜の白和え」とか「大根と青じそのみそ汁」とか、どんな味なんだろう。自分も加齢と共に、身体の為という訳でなく野菜料理が好きになってきた。2019/04/25
ぶんこ
20
アムプリン、沢田マンション、ともすけ弁当。 何度も検索をかけたり、読みたい本を登録したりと忙しい。 夕ご飯をお菓子で終わらせてしまうという読者に、「なにも無理して料理を作るひつようなんてないし、食べ物というのは体のためだけではなく、心の栄養でもある。」料理家なのに、こういうゆるいところが大好きです。 仲良しご夫婦、スイセイさんの個展が開かれた前後を読んで、スイセイさんが高山さんに甘えているんだなと気付きました。2014/06/25
mame
7
まったり読むのにぴったり。淡々とした日常と普通の献立だけど、ちょっとした合わせ方のヒントがあるのが好き。2024/10/15
Муми
7
発明家のご主人の存在(特に収入)が気になるところではあるが、なおみさんの心の拠り所なのはとても伝わって来る。夫婦はバランス良く出来ている。ただの日記と夕飯のメモなのに心にぐっと入ってくるのは何故だろう。2017/02/03
リタ
7
高山なおみさん、やっぱり好き。冬の縁側でひなたぼっこしてるみたいな安心感とあたたかさ。ゆっくりと変化してゆく生活を楽しむ心を彼女は持っている。泣いたり、イライラしたり、うまくいかないことも、人生の一コマとして受け入れて肯定するおおらかさと芯の強さが彼女の魅力だ。とても愛すべき料理家さんです。2014/04/26