内容説明
散歩に出かけたり、DVDを何度も見たり、仕事に没頭したり、いつものようにごはんを作ったり。実感を真っ直ぐに確かめながらの日々は続きます。『日々ごはん』(1)~(12)の続きは、『帰ってきた日々ごはん』として2015年発売。
<ある日の日記より>
私が電車を乗り継いで出掛け、暗くなって駅につき、買い物をたっぷりしてタクシーもなかなかつかまらなく、バスも混んでいて、やっと家にたどり着いた時。
うちの中にはスイセイがいて、鍵を開けてくれたり、お腹をすかしてごはんを待っていたり。ごはんが終わって、畳の部屋でだらだらとテレビを見ながら今日あったことを話したり。使い込んだ毛布みたいな匂いのするスイセイが、ちょっと頭のボケた調子(ずっと家にいたから)でいてくれることが、なんと自分を助けてくれることよ。そして、簡単なものでも、夜ごはんをしつらえ、いつものようにあと片づけをして、まっさらな台所に戻す。道具や器は、何年も何十年もそこにあり続ける。目に見える物たちが育む単調な繰り返しの、なんと確実なことよ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
40
料理研究家、高山氏の日記。2007年だから49歳頃。夫スイセイ氏との献立はラーメンやカレーの日もあり、のびのびと自由だ。野菜をたっぷりと使って変化をつけている。焼き蓮根の炊き込みご飯、などとても美味しそう。著者は日記を書くことで、人より豊かな感情の揺れを鎮めていると気づいた。動揺している時に鎮静してくれる何かは大事。日記は書き手の避難場所のようでもある。加齢による衰えを「感覚が変わった」と捉えて味わうのも良い知恵。この日記は本巻でおしまい。山梨に小屋を持つとの事。武田百合子の富士日記も再読したくなった。2020/12/24
ぶんこ
28
「料理屋さんや、飲み屋さんみたいに、お客さんをいい気持ちにさせる仕事に向いているのは、自分のいいところを、自分の中だけにしまっておかずに、周りの人たちにもどんどんあげられる人だ。」 高山さんご自身の思いが現れているなぁと思いました。 図書館から借りてきた本なので、所々抜けている巻があるので、少しずつ借りてきて、全巻読みたいと思っています。 本としては終わってしまいましたが、ホームページにはブログとして続いているので、楽しんで読んでいます。2014/06/25
ビスケ
11
当たり前の普通の日常こそがかけがえのないものであるように、日々のごはんも大切なもの。スイセイさんの定期検診の結果が良かったという一文を見るたび、自分も襟を正す。でも高山なおみのごはんはキッチリした四角四面のものじゃない。ときにはスーパーのお総菜が食卓に並んでいたりする。インスタントラーメンも食べる。外でおいしいものを食べ、酔っていい気分になったりもする。その抜け加減にも何度も救われたような気持ちになった。頑張ったり、手抜きしたりもしながら、私も私なりのごはんと共に生きていくだろう。2010/08/24
yupi
10
日々の暮らしで、何が大切なのかを感じさせてくれる。高山さんちのご飯は、素材を生かしたシンプルなものが多く、食べるとほっこりしそう。でも、料理家さんもスーパーのお惣菜なんか買うんですね~。2012/10/20
のぼる
9
順番ごちゃごちゃになっていて、読んでみたら最終巻だった。だらだら読める本だったので終わったのは寂しいな。元夫の死は響く。ごま豆腐の味噌汁、今度試してみよう。高山さんって年中風邪引いてるな。睡眠時間と酒で不規則な生活だからかなー。あとがきで、家を買ったことが記されており、そういう検討のこととかこの日記に書かれていなかったので少しがっかり。他の読み物に載せるから仕方ないんだろうけど、親しい友達に結婚したこと隠されていたみたいな。それだけ自分が高山さんに寄り添って読んできたということなのでしょう。2013/05/16