内容説明
【第68回毎日出版文化賞特別賞受賞作】国内外の危機を放置し、革命を停滞させるジロンド派の排除を決意したロベスピエール。ジャコバン派を率いて議会で攻勢をかける一方で、パリの市民にも蜂起を呼びかける。新聞「デュシェーヌ親爺」を発行し、庶民に絶大な人気を誇るエベールの働きもあり、パリは三度目の蜂起に突入。ジロンド派の追放を叫ぶ民衆が、議会に押し寄せ――。フランスが一党独裁への道を走り始める、怒涛の第14巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
46
やっと文庫版でまた3巻が出るようです。そのうちの1冊が本巻で、佐藤さんは民衆の生活を織り込みながらフランス革命の動きを追っていってくれるので飽きさせてくれません。いよいよジロンド派の議会からの排除を決めて、独裁になりつつあるという、この急な動きを描いてくれています。塩野さんのローマ人の物語とは違う意味で面白く、最後まで出たら再度読み直します。2015/02/28
Y2K☮
25
暴走するパリの民衆。確かに戦争、内乱、物価高に対してジロンド派は無策だった。でも議会を八万人で包囲して威圧し、力づくで排除へ追い込むのはやり過ぎ。議会政治の否定だ。直接民主主義? 暴れるだけの野蛮な輩に政治など無理。精神的な蜂起を目指していたはずのロベスピエールは、でもこの暴挙を止めない。全ては政敵を倒して祖国を救う為。だがその純粋な心には、気づかぬ間に異論や多様性を認めぬ狭隘な悪が芽生えている。そういう方へ仕向けるサンジュストら山岳派の罪も重い。下品な暴走や独裁を憂えるダントンやデムーランとの決別の時。2015/03/22
p-man
19
14巻は、またもエベールを中心としたサンキュロット達が蜂起する。今度はジロンド派を排斥するために。民衆が選んだ議員を力で追放するために。結果、ジャコバン派の勢力が増していく。 革命の標語「自由・平等・友愛・さもなくば死を」 2019/04/03
イトノコ
15
再読。エベールらに率いられたパリの民衆が蜂起、ついにジロンド派の排斥に至る。しかし異常な話だ。例えるなら極左の国会議員が都知事と結託、都民を扇動して自民党を追放するようなものか?理想化肌のロベスピエールは政治の純化のための精神的な蜂起、道徳的な暴動を唱えていたが、所詮は絵に描いたモチ。結果残るのは暴力の肯定と議会政治の否定、すなわち独裁であった。ダントンの嘆きは、後を引く。それにしても数の暴力を笠にきたサン・キュロットのふてぶてしさ。無学、下品、野卑、粗暴。デムーランの怒りやロラン夫人の軽蔑がよくわかる。2019/09/26
飛鳥栄司@がんサバイバー
13
「だったら代議制はどうなんです。みてのとおりで、政治は腐るばかりじゃないですか。議員なんて何回入れ替えたって、必ず腐敗していくんだ。綺麗だった連中まで、当選するや薄汚れて、自分のことしか考えなくなっていく。だったら、そんな議員なんか暴力で否定してしまって、何が悪いことがあるんですか」このセリフに尽きるね。サン・キュロットたちからしてみれば、問題解決能力に欠ける議会に対して抗しうる手段は、直接民主主義を要求する蜂起しかないもん。「革命」が権力争いと化してしまっては、期待が幻滅と怒りに変わっても仕方がない。2022/05/31
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