内容説明
王家に味方してきたミラボーが病死し、議会工作の術を失った国王ルイ16世。王族の亡命に神経を尖らせるパリの民衆に、別荘行きを力づくで阻止され、にわかにパリ脱出を決意する。スウェーデン貴族フェルセンの協力で、王妃マリー・アントワネットと幼い王子、王女とともに、真夜中のテュイルリ宮から抜け出すが、逃亡計画は次第にほころびはじめ…。国王一家の運命や、いかに。緊迫の第7巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
48
いよいよルイ16世が本格的に登場してきました。ミラボーの死により議会との和睦もままならない状況に追いやられてしまったんですね。そしてヴァレンヌ逃亡事件。ここまで何の動きも見せなかったルイ16世の度量や決断力が凄いなと思います。国王のプライドをも取り戻しましたしね。それにしてもフェルセンがダメ男すぎませんか。一方路エスピエールの革命に革命をの動きも見られ始め、運命はどう転がるか緊迫してきました。2014/11/01
KAZOO
33
いよいよルイ16世の本格的な登場です。ミラボーの死によって議会との和解もままならない状況に陥ってしまいます。ここに書かれているのは解説者の池田理代子さんのまさしく「ベルサイユの薔薇」の時代の物語です。結末はわかっているものの、エンターテイメントとして読みやすく歴史の中に引き込まれます。2014/10/03
金吾
32
○フランス革命の変換点のひとつであるヴァレンヌ事件の部分が真に迫っています。この巻はルイ16世の独白による心理描写が秀逸だと感じました。どちらかというと感情が余り無い人という印象の人がこの独白によりかなり嫉妬や悩み、躊躇いといった人としての姿がイメージ出来ました。2021/12/20
眠る山猫屋
23
おっと、いきなり主人公・ルイですか? 転換という訳ですね。長らく議会の迷走に付き合っていたので、新鮮な感じです。とはいってもインターミッションのフーガ。まさにドタバタな遁走劇。フェルゼンへの嫉妬と、抱えきれない程の自負に押し潰されないように・・・。普通の男ルイは頑張ります。失敗するけどね。2014/07/25
Y2K☮
20
「ベルばら」ファンの感想をぜひ聞きたい。あの悲運の貴族フェルセンが「地図が読めない、馬車も上手く操れない、脱出計画も満足に作れない、顔がいいだけの方向オンチ」になっている! しかも巻末の解説が池田理代子氏! まあでも納得しているみたいだから、案外こっちが真実に近いのかな。ルイ16世の内面描写にも共感できた。権能をことごとく奪われ、挙句に避暑地に行くのも邪魔されるんじゃ、そりゃ亡命したくもなる。どこまでが創作でどこからが事実なのだろう。この辺の曖昧な領域に関して、本作の佐藤賢一は司馬遼太郎の域に達している。2014/12/22