内容説明
革命に圧力を加えようとする諸外国に宣戦布告したフランス。しかし戦場の兵士たちの士気は低く、緒戦に敗退。開戦を主張したジロンド派は窮地におちいる。敗戦の責任を王家に転嫁しようと民衆の蜂起を促すも、あえなく失敗。政局が混乱し革命が行き詰まりかけた時、フランスの未来を拓くために、ダントンが、デムーランが、再びパリを起ち上がらせる! 革命が大きく舵を切る、運命の第11巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
55
パリの民衆が再び蜂起します。王権停止、後の王権廃止という歴史的出来事を招く結果を生むことになりました。ダントン、デムーラン、ロペスピエールらが台頭して来るところがやはり嬉しいところでしょう。ここは1つのフランス革命のクライマックスではないでしょうか。血なまぐさい展開になってきましたね。時の流れに流されないロペスピエールの政治的信念が感じられるのも今後の展開に影響していくのでしょう。2014/11/02
KAZOO
46
ロベスピエールやダントンが表に出ていましたが、いままであまり表面には出てこない、また私もあまり知らなかったデムーランがいよいよ活躍する場面が出てきます。共和制前夜の動きを登場人物たちの様々な動きで見せてくれます。次の感がいよいよルイ16世の処刑になるわけですか?2014/11/30
特盛
30
つくづく思う。革命というのは「これじゃない」はみんなで同意できて既存政権を倒すが、倒した後の「これがいい」はみんな違って揉める。本巻ではバスティーユから3年経過している。革命後の内政混乱のさ中、オーストリアとの戦争が旗色悪くなり混沌へ。王はまだ危機感を持っていない。パリの民衆を束ねていたダントンが蜂起し、政界に出る。彼は外野気味にいたのが急速に中央で輝きを増した。ようやくだ。共和制が旗揚げされ、戦時下危機克服で団結めいた秩序が形作られていく。全戸家宅捜査、などだんだん全体主義的な色が出てくる。どうなるか2025/03/13
Book & Travel
29
停滞するブルジョワの政治、解消されない食料不足。溜まっていた市民の不満のエネルギーが放出されるかのように、政治が大きく動く。8月10日の市民蜂起によるクーデターを経て、プロイセン軍侵入を受けて挙国一致体制が成立するまでが描かれる。特に蜂起の場面は、夜半に町中の警鐘が鳴り続ける中集まる人々、群衆が歌うラ・マルセイエーズなど、臨場感溢れる描写が印象的。ジロンド派の陰に隠れていたダントンが政治の表舞台に立ち、デムーランも躍進。新しい革命のステージに入った高揚感と今後の不吉さも感じつつ、先が更に気になる所だ。2024/10/23
Y2K☮
19
ついにパリのサン・キュロット(貧困層)が蜂起。武力とラ・マルセイエーズの歌を背景に、議会と宮殿を制圧。真の意味で庶民による庶民の為の政治が始まる。王は慢心してた。まるでタレブ氏の「ブラック・スワン」における七面鳥。千日無事でも千一日目も同じとは限らない。パリの家宅捜索や監視委員会など徐々に恐怖政治が顔を覗かせる。アナキン・スカイウォーカーが我知らずフォースの暗黒面に堕ちていく様に。蜂起に加わったデムーランの葛藤も印象的。彼は生まれたばかりの愛児が将来こんな事をしないで済む様に、とやむなく武器を取ったのだ。2015/01/25