内容説明
聖職者民事基本法をめぐり、賛成派と反対派が激しく対立。フランスはシスマ(教会大分裂)の危機に直面し、推進者のタレイランは窮地に追い込まれていた。そんな中、ジャコバン・クラブ代表、国民議会議長と次々に就任し、政界を登りつめつつあったミラボーが、志半ばにして病に倒れる。一度は決別したロベスピエールに、ミラボーが遺した最期の言葉とは――。巨星、墜つ。喪失の第6巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
49
最期まで革命の申し子は獅子でした。ミラボー死す。命がけの演説には圧倒されました。革命は最大の危機を迎え、難航するタレイランの主張は協会第分裂を招く危険を招きました。ロペスピエールは自分の理想に殉じることを決意したんですね。ますます疾走していく姿に危うさすら感じます。恐怖政治への布石がここから引かれ始めたと言ってもいいのでしょうか。政治のあり方にも注目ですね。2014/11/01
KAZOO
38
やはり小説なのでかなり面白くしかも詳しく書いていて、当時の状況がわかる感じがします。歴史の本だと単に何年に死んだとしか書かれていないのでしょうが、やはりドラマになりますね。ミラボーに比べるとロベスピエールはということになるのでしょうが、私はそれなりに好きです。人物が生き生きしています。2014/09/25
特盛
24
評価3.7/5。巨星墜つ。革命初期に存在感を放った大政治家ミラボーが41歳の若さで亡くなる。惜しい。彼は行き過ぎた改革を牽制し中庸の道を探った。豪快に外交や国内諸陣営のバランスをとり、立憲君主制の道を画策した。生きてれば王は死なず世界は変わっていたかも。死後にすぐ国葬が決議され、敵も味方も喪に服した。死の間際にミラボーがロベスピエールと向き合い、独裁の危うさについて警告するシーンは、物語前半の一つの区切りである予感を投げる。ライバル・師との別れの後、ロベスピエールの理想主義はますます燃えがっていくのだ。2024/08/29
mayumi225
21
巨人ミラボーが逝ってしまった・・・。小説の中なのに,ミラボー亡き後のフランスが心細くて,寂しくて,喪に服したくなる。テレビをつければ米大統領選ですが,現代の民主主義の顛末をテレビで見ながら,その基礎を築いたフランス革命を読むというのもなかなか考えさせられます。2016/11/09
眠る山猫屋
20
さよなら ミラボー。 混迷するフランス革命、タレイランは教会勢力との喧嘩をやめられないし、ミラボーは議会の日より見ジャコバン派との争いを回避できない。個人の理想や望みが国の方針と合致する可能性なんて低いものなのだろうが、革命という瞬間にしか叶えられないものでもあるのだろう。だから、ミラボー、望みが夢と終わってしまっても、生き切った男の足跡はきっと残ってゆくのだろう。2014/07/20