内容説明
名歯科医の活躍を描く、シリーズ第12弾!
志保が父親の殺害をきっかけに桂助の元に来なくなって、半年が経っていた。寂しくなった〈いしゃ・は・くち〉だが、歯の治療ばかりでなく、難事件の解決を依頼しに人々は訪れる。
桂助は、湊屋松右衛門から、自分が惚れていたお菊がなぜ突然居なくなってしまい死体で見つかったのか、を調べて欲しいと頼まれた。お菊の親友であるお奈津から、米問屋の山形屋に付き合っている男がいたと言われる。その男佐吉から話を聞いた桂助は、純粋な思い故に招いた悲劇の真相に迫っていく。
表題作の「江戸菊美人」ほか全4編を収録。鋼次や本橋ら仲間とともに、事件を鮮やかに解き明かしていく桂助の活躍を描く、書き下ろし人気シリーズ第12弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
びぃごろ
18
【口中医シリーズ⑫】志保は未だ家から出てこれない…桂助と鋼次の二人で薬草園と家事をこなし、志保の有難さをしみじみと感じる巻であった。大変だけど、いなければいないなりにやっていくしかないわけで…。「江戸菊美人」20年前に行方不明になっていた後添えにするばずだった娘が裏の崖下から骸で見つかる。「柘植の音」本橋が作った入歯の音がその耳に届き…座頭金同士の諍い。「花坂爺」見世物小屋で綱渡りする弟が離れ離れになった兄と母と。「冬の附子」友田が三味線のお師匠さんに惚れ、酒を断って稽古に通うが。2022/02/02
うみろー
7
今回は志保さんが全く登場しない。父親の死が影を落としている。でも、だからこそ桂助の心に志保への気持ちが生まれるかも??志保さんに会ってあげて欲しいなぁ。2013/01/15
むつき
5
志保さんが<いしゃ・は・くち>を訪れなくなって、とても寂しい…。2021/12/29
Keiko Miura
4
志保さーん。歯が磨きたくなる。2017/07/30
だいしょう@SR推進委員会
4
女性キャラである志保がいないと、こんなに味もそっけもない作品になってしまうのかと、ちょっとびっくり。おとなしいキャラなのだけれど、物語には欠かせない存在だったのね。いい意味で話に起伏をもたらしていたのだと思う。事件の謎もあっさりとしていて、謎といえないくらい。次回はもう少し濃い内容の話が読みたい。となると、志保のカムバックはかかせないから、桂助との関係もまた変わっていくのかな。確かに、志保の父の事件を乗り越えて、二人の心が穏やかに寄り添っていくのを見ていきたい。2011/12/31