内容説明
蒙古襲来を予見し国難回避を諭した「立正安国論」、柱となり眼目となり大船となって日本を救おうと宣言する「開目抄」。混迷する日本を救済しようとした日蓮が、強烈な信念で書き上げた二大代表作。
目次
立正安国論(災難の由来について 災難が信仰の誤りによるという経文の証拠 謗法の事実について 謗法の人と法について 法然の謗法と災難の原因について ほか)
開目抄(仏教と中国・インドの宗教思想の比較 法華経の二大真理 法華経の行者と受難 法華経の行者守護の必然 久遠実成の本仏釈尊 ほか)
感想・レビュー
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takeapple
13
日蓮の考え方を知る入門として読んでみた。なるほどこの過激さだと他宗派から目の敵にされるよね。色々な経典を読み込み、色々な宗派の勉強もしたうえで、法華経が一番だという結論に至ったのだろうし、当時の情勢の中で、民衆を救いたい気持ちは人一倍強かったのだなと思う。自分にも人にも厳しい人、妥協は絶対しない人だったのだろう。批判されている源空(法然)や、禅宗の栄西や道元、真言宗の空海の著作も読んでみたいし、評価している最澄についても読んでみたい。中世という近代科学以前の世界の考え方ってどんなものか更に考えたい。2017/10/20
Tomoichi
9
日蓮の代表的著作「立正安国論」と「開目抄」の現代語訳と原文、日蓮の生涯など収録。現代語訳はかなり読みやすいが前提の知識がないので深読みには仏教辞典が必要かも。立正安国論は客と主人の問答で法華経を論じ他宗を批判している形式とは知りませんでした。開目抄はより論理的でエキセントリックです。強烈な個性と知識、想像以上でした。浄土宗・真言宗・禅宗の方々にはオススメできません(笑)2016/02/08
浅香山三郎
8
原文と現代語訳により、日蓮思想にふれる。「立正安国論」は問答形式、「開目抄」は論稿形式であり、前者が概要編(現実の災厄の原因は法華経への不帰依にある)、後者が仏教の他宗他派の教説の批判を中心に述べる。訳文を先に読むと、存外原文も明瞭な構成で、前者は特に法然の教説に的を絞る批判、後者は天台宗における法華経の受容を踏まへた他宗の批判として専門化する。2022/04/11
keint
7
「開目抄」現代語訳と「日蓮の生涯」、「日蓮の遺文」のみ読んだ。「開目抄」現代語訳については中公の日本の名著よりも読みやすく、流れを掴むことができたので再読して挑戦してみたいと感じた。「日蓮の遺文」については重要な5部経についてその概要を知ることができた。2020/04/13
モッチー
4
日蓮遺文から、『立正安国論』『開目抄』の2篇の現代語訳と原文を収録している。今回は、このうち『立正安国論』を、日蓮が鎌倉幕府の執権北条時頼に宛てた宗教政策に関する提言書として読んだ。本書の現代語訳には、各章に明解な見出しがついていて、日蓮の議論の全体像を見失わずに通読することが容易になっている。さて、『立正安国論』の提言内容は、「当時相次いだ天変地異は、念仏による往生を唱えた法然の謗法が原因であり、法然をはじめとする謗法者への布施をやめ、謗法を禁止することで災いを払うことができる」というものである。2022/03/09