内容説明
『三国志』決定版、第4巻。劉備、徐州に起つ――。董卓に大敗した曹操は、エン州(えんしゅう)を拠点に黄巾軍を味方に引き入れていく。だが徐州の陶謙に父を殺され、仇討ちに徐州へ大虐殺の軍を進めている間、エン州で叛逆が起き、窮地に追い込まれた。朝廷では董卓が謀殺されたが、董卓軍の将たちが幼帝を奪い合い、帝は都を出て逃亡する。孫堅は急死し、息子の孫策は袁術を頼って揚州へ赴いた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
48
図書館本。董卓倒る。しかし、その暴政の名残はなくなることはなく、残臣達によって帝は振り回されることとなる。その一方、曹操は着実に力を蓄え、黄布賊の残兵を青州兵として吸収する。孫堅はその実力を見せつつもあっけなく倒れることとなるが、その息子孫策は小覇王の片鱗を見せる。★★★★☆2022/04/04
Book & Travel
42
活躍目覚ましかった孫堅が戦死し、孫策登場、董卓暗殺、呂布の彷徨、劉備の徐州入り、献帝の逃避行と、序盤の主要人物が出揃い様々な出来事が起こる本巻。しかしここも主役は曹操。兗州に入った曹操は荀彧や程呈の補佐を受け力を付けていく。徐州大虐殺は復讐のためとは云え頂けないが、大敗したり謀略に嵌められたりと時に失敗しながら、夏侯惇や曹仁ら旗揚げ以来の将たちと共に強くなっていく姿に胸が熱くなる。一方で張邈、楊奉といった人物にスポットが当たるのも宮城谷三国志の特徴。多くの人物の消えゆく姿に人生の不思議さと儚さが心に残る。2022/04/07
ジュール リブレ
38
いよいよ曹操や呂布、孫堅・孫策や劉備・関羽・張飛のお出まし。ではあるのだけれど、正史たる三国志をネタ本にする宮城谷版はあくまで淡々と進む。袁紹と袁術、公孫瓚との関係や、陶謙、劉焉、そして献帝を抱える李傕らの動きも粛々と進んでいく。その中で儚く命が消えていく一人一人の想いはどこへ行くのだろうか。今の時代に、その道筋は?平時の凡人、乱世の梟雄。それから2000年を超えた21世紀の今は、さて、どんな時代なんでしょうか。どう思いますか?2019/06/28
アイゼナハ@灯れ松明の火
34
再読です。第4巻は孫堅の死(涙)、曹操が一州の主となり徐州での復讐戦を経て呂布との争いに突入する辺り、また董卓が死んで献帝が洛陽を目指す辺りまで。変換できない漢字を名前にしてる人が多くて焦りますが、曹操幕下の程イクや毛カイ、後に曹操の重臣になる董昭、張繍の幕下に入る前のカクといった人材の新たな魅力が発見できて面白い。孫呉では張昭じゃなくて張紘の方に孫策がその家族を預けていったってエピソードが興味深かったなぁ。それにしても、曹操の活躍に比べて袁術のデタラメさ加減が目につく巻。人材のいない勢力は滅ぶんだね。2010/10/31
みや
32
曹操の魅力に改めて惚れ直した。黄巾賊に対する曹操の接し方は、戦略としての打算は勿論あるが、「真摯」「誠実」という曹操らしくない言葉が思い浮かぶ。徐州への苛烈極まる攻撃も、陶謙に父を殺された純粋な恨みが原因として最も大きく、同じ行動であっても受ける印象は大分違った。陶謙もこれまで抱いていた優しいイメージと随分異なる。攻撃的な発言と行動に驚いた。曹操の祖父が宦官であったことが、人物関係に未だ関わってくるから面白い。曹操に絶大な信頼を置かれていた鮑信の死と、妻子を袁紹に送ろうとした曹操を程昱が諌める場面が好き。2019/05/04