内容説明
歴史はふりかえってみるものではない。すすんでいって、みるものである。「特別随想 ふりかえること」より
『三国志』をはじめ長年、中国歴史小説を書き続ける著者が、みずからの歴史観、世界観、小説観をあますところなく開陳した。
自作解説や作家、経済人、学者など多彩なメンバーとの対談などを収録。
<目次>
【ロングインタビュー】私の「歴史小説」
【自作解説】三国志の世界
・『三国志』の沃野に挑む--大歴史絵巻の豊穣なる世界
・曹操と劉備、三国志の世界--正史からみえてくる英雄たちの素顔
・『三国志』の可能性--歴史は多面体だからこそおもしろい
・『三国志』歴史に何を学ぶのか--構想十年、執筆十二年の大長編を終えて
【対談】歴史小説を語る
・水上勉--歴史と小説が出会うところ
・井上ひさし--歴史小説の沃野 時代小説の滋味
・宮部みゆき--「言葉」の生まれる場所
・吉川晃司--我々が中国史に辿り着くまで
・江夏豊--司馬遼太郎真剣勝負
・五木寛之--乱世を生きるということ
【講義&対談】中国古代史の魅力
・中国古代史入門--どこから学べばいいのか
・白川静--日本人が忘れたもうひとつの教養
・平岩外四--逆風の中の指導者論
・藤原正彦--英語より『論語』を
・秋山駿--春秋時代から戦国時代へ
・マイケル・レドモンド--碁盤上に宇宙が見える
・項羽と劉邦、激動の時代--ふたりを動かした英雄たちと歴史的必然
・『三国志』をより深く楽しむための本
・宮城谷昌光 中国歴史作品の年代一覧
・特別随想 ふりかえること
・宮城谷昌光 出版年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
59
宮城谷さんの『三国志』完結記念で出された過去の対談、インタビュー集という形で、そのために、実は三国志のネタ薄め。それでも宮城谷さんの歴史観、文学観がよくわかってとても面白かったです。対談の白眉は、白川静は当然として、吉川晃司とのものが面白かったです。吉川さんって中国史ファンなの知らなかったですが、どのように読書をされてきたのかを身にしみる形で語られています。さあ、宮城谷『三国志』読むか!2024/07/15
Die-Go
42
図書館本。三国志読本と銘打っているが、むしろ三国志について触れられているのは数少なく、宮代宮城谷氏の中国史への考え方についてがほとんど。対談では吉川晃司氏など意外な人物とのものがあるが、それが面白い。特に江夏豊氏の燃えよ剣への思いは共感しきり。★★★☆☆2022/05/29
楽
26
14年単行本、17年文庫。電子書籍で読んだが長かった。後から読み始めた『三国志名臣列伝魏篇』の方が早く読み終わった■インタビューと対談集。吉川晃司、江夏豊など意外な相手も(失礼■無類の読書家としても知られた平岩外四も登場するが、現在の経済人や政治家は薄いというか思想の背景が窺えない。本を読んでいるのだろうか。「評論家」もいなくなった■白川静先生との対談はずっと続けてほしいくらい。黄遵憲という人物を知る■宮城谷三国志本編は12巻で終わったが竜頭蛇尾の感。本書にも読者から呉の滅亡まで書いてと言われたとある2021/11/11
Mzo
21
三国志読本というよりは、宮城谷昌光対談集という趣きの一冊。どの対談も面白く、漢字や日本語を大切にせねば、という気にさせられる。そして、やっぱり三国志全12巻を再読したくなるなぁ。第1巻を読んだのは2008年か…。読メがリリースされた年ですね。そりゃ内容を忘れる訳だ。2017/05/25
ナラサン
17
宮城谷さん、ホントーに努力家で勉強家。すごい。そして対談相手がまた・・・作家さん、学者さんから吉川晃司!江夏豊!?懐の深さがすばらしい。2017/07/31