内容説明
日露戦争中、ロシアの内乱を企て日本を勝利に導いた男、怪男児明石元二郎の若き日の物語。明治23年、ひそかに来日し暗躍していた怪僧ラスプーチン。彼はロシア皇太子襲撃を画策していた! チェーホフ、二葉亭四迷、乃木希典、森鴎外までをも巻き込んで日本とロシアの大怪物の対決は続く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
103
山田風太郎の明治小説の11巻目で今回は日露戦争でロシアを内部から崩壊させる役割を行った明石元二郎の日本における若かりし頃の話です。ロシアの怪僧のラスプーチンが後半になって出てきますが、前半は胡散臭い人物との対決です。かなり有名人が実名(二葉亭四迷、谷崎純一郎、夏目漱石、正岡子規など)で出てきてちょっとした関係もありますが、どちらかというと胡散臭い人物は仮名で登場します。2025/07/04
Sam
52
未読の明治ものも残りわずか。本作は日露戦争における勝利の陰の立役者明石元二郎を主役として据え、後半から登場するラスプーチンとの間に起こる奇想天外な出来事を描いたもの。元々は「明治化物草子」として連載されたらしく(渡辺京二曰く「シリーズ最大の怪作」)、歴史上の大(怪?)人物たちが次々登場し楽しませてくれるし、明石が鮮やかに悪役を懲らしめていく場面にはワクワクさせられた。とはいうもののやや散漫な印象は否めない。少々詰め込み過ぎでテーマがボケたのではなかろうか。もちろん、他の大傑作群と比べて、ということだが。2024/08/26
きょちょ
15
風太郎は個性的な人物を描くのが実に巧い。ここでは、後の日露戦争で密偵として活躍する明石元二郎、神道占の稲城黄天、そして快僧ラスプーチンと個性派3人が登場。前半の元二郎と黄天とのやりあいは面白いのだが、後半は期待したほどこの3人で大きなぶつかり合いがなかった。結末はやや中途半端かな。途中登場するチェーホフは微笑ましい。 ★★★2015/08/31
getsuki
14
ラスプーチンが登場するのは物語の後半から。序盤から明石元二郎の怪男児ぶりが話を盛り上げる。怪しげな部分を取っ払ってしまうと、美貌の女性・雪香を巡る恋の鞘当てだな(笑)ラストが中途半端なのが……つくづく惜しい。2017/04/14
スプリント
11
ラスプーチンと明石元二郎を中心に乃木希典、二葉亭四迷、森鴎外、はてはチェーホフまで登場します。快男児明石元二郎の活躍を期待しますが、中盤以降勢いが止まってしまったのが残念。やや消化不良の読了感。2018/09/29