内容説明
駒井の率いる無名丸が釜山を出帆、大海原へ乗りだした。白雲、七兵衛らを加えた総勢十六人。それより先、琵琶湖で死かけた竜之助とお雪は、はからずもお角に救われた。ついで京山科へ向かった竜之助は、新撰組の一派に出会う。一方お銀様は、娘のその後を見届けに来た父・伊太夫に対面すべく胆吹をあとにした。王国の留守を託された青嵐居士は、迫り来る一揆を迎える備えにかかった……。「京の夢おう坂の夢の巻」「山科の巻（一～四十七）」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こうすけ
24
ついに残すところ、あと一巻。動乱の京都を舞台に竜之助や新撰組が沢山出てきて、初期を思い出す。日本を代表する小説とは、というやり取りの中で、源氏物語・八犬伝に並び大菩薩峠が出てくるお茶目なメタ構造。巻末で「今回は書いている時間なかったけど、このキャラクターは今…」みたいなダイジェストが付加されるように。また「大正に発表し今や昭和14年。とうとう源氏物語の6倍の長さになった」と、総括的な振り返りが出てきて驚く。地の文でヒトラー登場。お銀様の「勤王と佐幕以外にもう１つ勢力がある。それは金持ちだ」というのが良い。2022/03/30
きょちょ
15
「京の夢おう坂の夢の巻」「山科の巻」。 あと一巻しかないのに、今さら新撰組登場か・・・。 道草喰っててどうすんの・・・。 ましてや、勝海舟の親父の自叙伝が出てくるなんて・・・これはこれで面白いけど。 いろいろな話が展開しているのだが、どれか１つでも「けりがつく」だろうか・・・。 お銀様が出て行って、彼女の生家の跡継ぎが、七兵衛の息子の与八と龍之助の息子の郁太郎になるのは、一応の決着だが。 ★★★2016/08/30
ソングライン
10
釜石で七兵衛が乗船しすべての乗組員がそろった無名丸を駒井は何処へ導くのか、胆吹山ではお銀様の王国を一揆が襲うが青嵐居士の計略で難を逃れます。胆吹山から琵琶湖に向かった竜之助とお雪は心中を試みますが助けられ、お雪は大阪の親類に送られ、竜之助は京都に現れます。そこでは新選組と御陵衛士の対立が繰り広げられています。多分、収束はない物語の最終巻へ。2024/03/09
ジュール
9
読むペースは落ちたが、多分次で最終巻。もう一息。みんなは京都の近くで。机竜之介久がお雪ちゃんと心中するが助けられる。新選組も出てくる。米友と弁信が出会う。お銀様は関の宿守の助けを借りて胆吹のそばで王国を作る。神尾主善は夢酔独言に夢中に。夢酔独言は面白いが引用をはるかに超えた引用。さすがに作者も息切れで手抜きか。2020/04/07
Stevie G
2
読み終わりたくなくて、ものすごいスローペースで来たものの、とうとうあと1冊。竜之介の目が火薬の傷がもとで見えなくなってから、お若の在所の高尾山で治療して一時良くなって、そのうちまた見えるようになるものと思っていたのに、これは最後まで治らないのですね。これまでの登場人物は、あと1冊のうちにどこに落ち着くことになるのでしょうか？2013/08/21
