内容説明
お雪にともなわれ、信州白骨の温泉へ赴いた竜之助は、しばしの安息を得て目を癒す日々。その竜之助を仇と狙い、旅を急ぐ宇津木兵馬。一方、お銀様は慕い追う竜之助の探索をいったん断念、故郷の有野村へ向かった。時を同じく、がんりきの百蔵に茂太郎をさらわれ、うらびれた独り旅を行く弁信。また米友とともに京大阪をめざし、医師道庵が街道をゆらゆら歩む。中山道筋に展開する道中模様……。「流転の巻」「みちりやの巻(一~十三)」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こうすけ
20
なかなかに苦痛だった9巻。竜之助が出てこないから。出てこないほど好きになるという不思議な主人公。しかし竜之助の少年時代が初めて明かされるという嬉しいサプライズもあった。劇中劇の説明や芸術論・文学論など、脱線甚だしい。芸術論に関しては作中の時代関係なく、明治や大正の画家について触れるという混沌ぶり。それにしても、ここへ来て七兵衛と竜之助がシンクロし始めるという展開の妙。介山的には、書き進めるうちに二人の境遇が似通っていることに気付いたのでは。また、お雪がかなり良いキャラクターになってきた。2021/01/28
きょちょ
14
「流転の巻」と「みちりやの巻」収録。 「流転の巻」、いくら主な登場人物すべてが主人公とはいえ、医者の道庵と米友の信州松本までの旅の話は、実に退屈極まりない。 「みちりやの巻」は、机龍之助の目の治療のため白骨温泉に同行したお雪、彼女はお松と同様割とノーマルな人物なのだが、なんでか知らないが、処女なのに自分が妊娠したと思い込んで悩んでしまう。 白骨温泉で知り合い二人が死んだとはいえ、みんなに慕われて学問もし、それほど孤独感もないだろうに。 なんでこんな展開になるのか・・・。 次巻で明らかにしてほしい。 ★★★2016/04/30
ソングライン
12
白骨温泉で視力回復のため湯治する竜之助、その後を追うも未だ出会えない宇津木兵馬。竜之助に逃げられたお銀は彼を追いかけるも叶わず故郷の甲州に戻り父に許されます。医師道庵は上方を目指し供の米友と中山道を旅し宿場ごとに騒動を起こしています。一同が会することなくも読ませる大菩薩峠、次巻へ。2023/10/08
ジュール
7
話が相変わらずいくつかに分かれて展開。 房総の駒井、白骨温泉の竜之介とお雪ちゃん、松本あたりの道庵先生。 竜之介の影が薄い。 お雪ちゃんは想像妊娠?2019/09/24
よしひろ
4
明治を代表する人物を1人に絞れないという筆者の意見はなるほどと思った。福沢諭吉が出てくるのも、そうなるのか、と思った。2015/12/06