内容説明
「ようこそ、みんな。“ここ”では久しぶりだねえ」
“魔女”十叶詠子が聖創学院に帰ってきた。異様な雰囲気を醸す“使徒”を引き連れて。
その帰還にあわせるように、『異界』の存在が欠けたものを補ってくれるという〈儀式〉が学園で流行り始める。
真相の掴めぬ〈儀式〉、敵対する“魔女団”の出現により、混乱を極める状況の中、空目恭一ら文芸部の面々の間に微妙な亀裂が入り始める――。
鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作、第9弾。新装版限定書き下ろし掌編付き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雷華
12
手に取ったら読んでました。 彼は確かに裏切りました。でもその立場になったときのことを考えるとこうなっちゃうよね?としか思えない自分がいます。一番共感したのは今回の被害者なんですけどね。2022/03/31
白火
9
読んで気づく、美術部の顛末が大幅に書き足されている…!というか旧版より美術部在籍者が多かったことになってるな、旧だと確か怪異で全滅したネームドキャラ達だけだった記憶だが退部した者もいたことになっていて、そっか怪異から逃げられた美術部員もちゃんといたのか…(感慨のような気持ち)。“占い師”を訪ねた時の空目と俊也のやり取りも少し書き足されてる…加筆修正が凄い。書き下ろし掌編の結びに「ああ」という気持ちになるなど。そうだね空目からの答えはもう出ないね…。2021/12/29
椎名
9
掌編は“宗教”についての会話。亜紀のあやめへの態度、空目への感情、人間でしかいられないがために身を張って埋めるしかない欠けと、人間側とそうでない者の側の差がハッキリ出てきたように思う。村神が「お前の気持ちを聞かせろ」と言ったことに対して完成論破してしまう空目が印象的。久しぶりに読むと覚えていなかったやりとりなんかもあり、やはり再読は楽しい。2021/12/25
にぃと
8
「座敷童」と言われれば、そんなに悪いことするようなイメージもなかったんだけど作中でも同じこと触れられてて、それがわかりやすい解説だったので勉強になった。3部作の上巻だけあって物語としてはまだ導入部分だが、すでにゾワゾワするような感覚がある。本物への畏れ、無力感などからくる文芸部のすれ違いもあり、果たして魔女、そしてその使徒を狩ることができるのか、と不安になってしまう。2023/05/07
海星梨
8
下巻が発売されたので一気読み中~。亜紀ちゃんは恋に生きすぎだよねー。孤高の中で見つけた希望にすがっちゃうのも分かるけど、その恋すら彼女を孤立させる作用しかないのは悲しい。そして黒服どもー! グラサン着用で暗い部屋のなかがみえるとか人間じゃなくなってきましたねー!? メイインブラックの都市伝説に取り込まれ始めてる……(ぞくぞく)。武巳だけが「やること」をつかんで、ほかは混沌を深めるなか、魔女先輩の信徒になりたい……。もう十代も遠退いてきたし、無理かな……。2022/07/26