内容説明
司馬文学に新しい光をあてる豊かな短篇小説の世界
1964年に発表された14篇を収める。この年の3月、「燃えよ剣」が完結、「竜馬がゆく」は連載3年目を迎え佳境に入る。著者41歳のころ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
40
この中には、結構ほかの作品集に入っているものが含まれています。「鬼謀の人」村田蔵六のことを書いたものであるし、「人斬り以蔵」暗殺人である岡田以蔵のことを書いたものや、「関ヶ原」本当はかなりな作品ですがそこから一部を抜き出したものなどなじみのものが多いように感じられました。このような読み方もいいものですね。2015/03/11
kawa
30
幕末もの中心の14編800頁弱。ベストはラスト「酔って候」山内容堂。土佐藩の上士×郷士、佐幕×尊王攘夷の動乱ドラマが面白いし、維新を決定付けた徳川の納地返還を決定する小御所会議の生々しさに釘付け。そこで日和るな容堂の思いもあるのだが、西郷の覚悟のほうが先手位勝ちということなのだろう。これ長編ドラマ仕立て読んでみたい一作。他にも当時の人物や事件に焦点当ての作、ノワール物など力作揃い。どなたかのレビューにもあったが、これまでの短編全集でベストかも。2023/03/02
Genei-John
1
司馬遼太郎の長編の原型のような短編が数多く目についた。長編もよいが、短編もエッセンスが凝縮されているようで面白い。2012/12/20
シノッツォ
0
全集の中でも一番面白い作品が収録されてると思う。『人斬り以蔵』。以蔵のどんどん空回りしていく様が、なんとも言えず悲しい。他、大村益次郎を描いた『鬼謀の人』。どれもが面白かった。2018/12/01