内容説明
司馬文学に新しい光をあてる豊かな短篇小説の世界
1967年から68年に発表された九篇を収める。68年4月、「坂の上の雲」連載開始。作家・司馬遼太郎は大きく変貌しつつあった
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
38
1967年から68年10月ごろまでに発表された作品が収められています。豊臣家の人々の第5話から9話までと、「故郷忘じがたく候」という作品集に収められたものがいくつかあります。表題作と、「斬殺」「胡桃に酒」ですがやはり薩摩焼の話の表題作が印象に残りました。2015/04/03
kawa
28
秀作「豊臣家の人々」に収録の5編も含めての戦国もの7作、幕末もの2作。読了後も謎?の細川忠興・ガラシャのパワハラ・セクハラ夫婦関係を描く「胡桃に酒」が印象的。他の作家さんはどのように描くか追っかけも面白い題材かも。1968年執筆の「故郷忘れじがたく候」は幕末紀行ものでテイストが他作品と異なる。1971年からの「街道をゆく」こと始め?「短篇全集」も残るところ1巻。2023/04/02
gauche
3
司馬遼太郎の短編には著者自身が見聞きした人を落語の枕のようにして始まるものがいくつかある。「余話として」の材木商の話だったり、タイトルが思い出せないが医者から藩の執政になる話などだ。本書に所収されている「故郷忘じがたく候」もその一つで、どこまでが本当でどこからが小説なのか分からない、不思議な味わいがある。2018/09/24
シノッツォ
0
『胡桃に酒』。明智光秀の娘、細川たま(ガラシャ)の生涯をテーマにした作品。明智家からの嫁入り、婚礼儀式からたまのことを知る少斎が、関ヶ原の役の際に、たまを殺さねばならなかった時の思いとはどんなものかとも思う。2018/12/01