内容説明
太平洋の黒潮につき出した房総半島――その自然と人生とが生んだ奇々怪々でスケールの大きい民話70篇とわらべうたを収録し、大工業地帯に住む人びとにうるおいをあたえる。
目次
はしがき
安房地方
おその狐と鍛冶屋
どもりと火事
十二支からおちた猫
増間ばなし
クラゲ骨なし
お仙ころがし
仁王さまの蛭退治
雀の親孝行
黒雲になった三毛猫
蛸の足の八本目
お礼の塩井戸
上総地方
法螺貝と三原山の戦い
つばめの恩返し
証誠寺の狸ばやし
とうかん森の狐
三国一の知恵
めぐみの泉
海女と大アワビ
鬼にさらわれた親子
鬼の腹切り
糞蛙と赤蛙
卵と笊と炭と味噌
蟻と鳩
道楽をなおす医者
塩には負けた世界一
地蔵さま
千種の風流追いはぎ
ほととぎすの親子
河童のくれた壺
荒神さまの牡丹餅
ある猟師のはなし
茗荷と女房
くらつこ鳥
片ふた梅
笠森観音のはなし
猟師浅右衛門
田の草地蔵
小山野の田植如来
関の姥さま
蛙になった牡丹餅
犬の足は三本
勘解由どんの猫
船幽霊
孫になった狸
沢蟹の恩がえし
坊主のあだうち
狸の行列
ずるてんと狸
河童のくれた証文
小僧の知恵
狼の千軒のぞき
気嫌をよくした小僧
川津場ばなし
お月さまのたすけの綱
下総地方
木の舟と泥の舟
茶栗と傘柿
乞食とズクズクボウ
力持ち平右衛門
奉公人の田の草とり
天狗のはなし
あざみ権現
親は古酒、子は清水
雨を降らせた竜
雨乞いの卜童
片葉の弁天
子守おつる
千把ケ池
白狐の嫁入り
印内の重右衛門
渋無わらび
わらべうた
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツキノ
17
昔話や民話って、なんておもしろいのだろう。自分の暮らす地区のものは特に。いまの子なら「こんなのありえない」っていうだろう(実際『かえるをのんだととさん』を読んだらそんな声があがった)話、ほんとになかったといえるかどうか?なんて思うとますますおもしろい。民話は「生活の古典として、人から人へと伝えられた民間の説話」を指す、というのはなるほど。「かさじそう」に酷似した話(かさでなく反物)、「かちかちやま」に酷似した話(たぬきでなくムジナ)もある。価値ある新版発行。2017/01/24
ヒラP@ehon.gohon
8
自分の住む千葉の民話集。どこかで聞いたようなお話の房総テイストと、地産オリジナル。各地の民話の旅も面白いかもしれません。2016/05/28
三谷銀屋
5
千葉県の土地にまつわる民話だけでなく、誰もが知ってる昔話(「笠子地蔵」「かちかち山」)のバリエーションも載っている。お話が人から人へと口伝えで伝わるうちに細部が変化していく、その様子が実感として感じられる。千葉県ならではの昔話としては、有名な「おせんころがし」のいわれは、子供の頃から怖かったが、今改めて読んでもなんとも痛ましくて残酷。布良の「蛸の足の八本目」、岩和田の「海女と大アワビ」等もぞっとするようなブラックさがあって印象に残った。房総にはやはり海のものにまつわる怪異の話が多めなのが面白い。2022/07/03
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