内容説明
儒者の抵抗によって思わぬ苦戦を強いられた陽虎は、太古の鬼神・饕餮を召喚。瞬く間に儒者の屍の山が築かれていった。その凄まじさに孔子の弟子たちは恐れをなすが、一人、顔回だけは落ちついていた……。土俗的な術を使う政敵との熾烈な闘い、媚術で弟子を次々に骨抜きにする謎の美女の登場、更に許嫁・ヨと顔回の恋の行方は……? ますます白熱する大河歴史小説、待望の第二巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Norico
20
陽虎の乱は目処がつき、いよいよ悪悦と子蓉がでてきた。顔回が怪我して泣く五六にじーんとする。妤の出番が後半少ないので残念。2017/05/06
もえたく
16
政治家孔子と異能者として支える愛弟子顔回を描く異色の中国歴史小説の第2巻。政敵陽虎は牛身人面の鬼獣である饕餮を召喚し、顔回との呪術バトルを繰り広げる。饕餮は、漫画『信長を殺した男』で限りなく貪欲な男として登場する秀吉饕餮を想像。怖い。『荀子』 『史記 』で孔子が抹殺したとされる少正卯が新たな政敵として登場。ますます孔子像が変わってきましたが、物語は盛り上がってきました。2020/05/05
きいち
11
饕餮、悪桀、子蓉との対決、悪兄妹とは前哨戦ながら、願回の活躍が語られはじめる第二巻。特に饕餮の祓い方は願回の真骨頂である素直さ・無邪気の力強さが存分に発揮されていて、わくわくしてくる。そして少正卯VS孔子、この巻では少正が攻勢ながら、言葉での闘いは本格的。正直、この無邪気さの価値や、名前や言葉の使い方で現実の意味づけが変わってくる、というのは、自分の世の中への接し方に影響を与えてしまっているように思える、それくらいこのエンターテインメント、力がある。さあ、3巻はいよいよ子蓉だ。楽しみ。2013/02/04
三柴ゆよし
11
謀略の巧みにして南蛮の呪術を用いる陽虎と歴史の裏にあって魯国を支える顔一族との壮絶な呪術合戦の幕が切って落とされる。太古の邪神・饕餮(メガテンでもお馴染ですな)との対峙。不穏な動きを以て孔子を征さんとする謎の男・小生卯。顔回にも刺客の魔の手が忍び寄る。全13巻の大長篇であるにも関わらず、すでにして物語の起伏が尋常ではない。これが最後まで息切れせずに続いているとしたら大変なことだと思う。日本の娯楽小説史に残る傑作だろう。とりあえず冷静に読み進めていきたい。2011/03/17
りー
10
孔子は魯の内紛に巻き込まれていきます。一方、顔氏も陽虎の仕掛けてきた呪に一族をあげて全面対決を挑む。陽虎がくり出してきたのは、なんと、古の神=饕餮(とうてつ)。顔回は、神に対して礼を尽くすことで一族の危機を救う。この巻も、手に汗握る呪術の応酬がたくさん登場。春秋時代の中国史に詳しい人はもっと楽しいと思います。呪術的な側面から中国史を見ると、日本の儀礼がいかに中国の影響下にあるか、実感します。面白くなってきました!2019/12/27