内容説明
尼山の祠に奉納する舞の舞手に選ばれた尼山顔氏の長の末娘顔徴在。激しく降りしきる雷雨の中、無我の境地で舞い続ける徴在に、激しい光が下り立った。彼女を包み込んだ尼山の神。その神が彼女に告げたのは、一生一人であることを運命づけられた彼女が、「三年後、子を生むことになる」という驚くべき「命」だった……。孔子出生の秘密がいよいよ明らかになる、空前絶後の第10巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Norico
21
やっと10巻に到達。孔子の母親徴在の運命が明らかに。面白いんだけど、解説部分に時間がかかっちゃいます。あと随分久しぶりな気がする少正卯、なんか情けない。悪悦はまた懲りない奴。2017/05/12
もえたく
13
政治家孔子と異能者として支える愛弟子顔回を描く異色の中国歴史小説の第10巻。顔回の故郷で療養に務める妤に、明かされる孔子出生の秘密。孔子の成城討伐計画の前に立ち塞がる悪悦の企み。そして復活する妖女子蓉。いつまで経っても待ちの姿勢が変わらない顔回の姿勢に、流石にイラッときます。危機が迫っているのに。急いで次巻へ。2020/05/19
きいち
6
神を前に最高の巫女が舞う。祭を担い、神の命を受ける。ドキドキする。この巻の主役徴在は14くらいだろうか、とするとエヴァの子たちと同じ年か。頭の中のイメージはマリだったけれど、ここで思い出したのはアスカが量産型と闘っていたシーンだった。エヴァとは違って、徴在は歴史を紡ぐ使命を担うことになる。そこから弾き飛ばされるのは若き日の顔穆。彼に感情移入してしまうな。/それにしても、時代を50年も遡っての語りなのに、前日談にありがちな予定調和の弛緩した雰囲気をかけらも感じさせない。緊迫したまま、だ。2013/03/26
ゆうげん
4
今まで語られてこなかった孔子の母、徴在の過去が明らかになる。物語が大きく動く一歩手前といったところ。徴在、女予、子蓉といった女性がそれぞれ強くて魅力的だ。2011/01/07
きさらぎ
3
「あやまんなさいよ。あやまんないでは帰さないわよ」久々に妤らしい啖呵を観る事が出来て何だかホッとした。妤はやっぱり眦を吊り上げて悪態ついてる姿がいい。それに更に輪をかけて跳ねっ返りの徴在。顔穆との争いはよかったな。徴在が舞う。顔氏の礼を未来へ。その「命」を享ける徴在の苦しみ、「小人儒と君子儒」と言わねばならなかった、実行者たる孔子の「激痛」。「何が天命か。治る!」医鶃の激情。それぞれが命に直面し、受け容れ抗い、精一杯に生きている。2018/09/21