内容説明
妖女・子蓉の媚術により、陋巷の美少女・ヨは次第に病み衰えていく。満月の強大な魔力を利用する子蓉と巫医の神である祝融の力を借りる異形の南方医・医ゲイとの、命を賭けた闘いが始まった。孔子最愛の弟子・顔回は、ヨの内に潜む鬼魅を制するために、薬草漬けの酒で一時的に意識を殺し、九泉に向かった……。冥界に降りた顔回をめぐり、神同士が激しく相争う、驚天動地の第8巻。 ※文庫版掲載の『連載挿し絵名作館』は収録しておりません。ご了承ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Norico
24
満月による月蠱、冥界九泉への旅立ちなど、オカルティックでよいです。祝融や女魃という神様まで絡んで、今度こそ顔回が大活躍です!…って、この巻でまだ終わらないのかー!!先が気になりすぎて、すぐ次巻へ。2017/05/09
もえたく
15
政治家孔子と異能者として支える愛弟子顔回を描く異色の中国歴史小説の第8巻。前半は、南方の医師と蠱に乗っ取られた美少女妤の物質化した霊魂(まるでジョジョのスタンド)との息詰まる攻防。後半、顔回は薬の力で冥界へ行き、そこでも妤と子蓉を見つけるが、南方の戦いの神が現れるというスケールの大きな展開に。女神達の代理戦争も繰り広げられ、最終的にどうなるのか見当もつきません。急いで次巻へ。2020/05/16
きいち
10
おおお、黄泉下り。読むほうもベースをどこにおけばいいか何度も何度も揺らされる、酒見の腕が際立つ小説ならではの愉しみ。頼りになるのは顔回同様、自分はどう読みたいのかという自らの眼、とも思う。確か『ディスコミュニケーション』ともほぼ同時代だな。あれもいい黄泉下りだった。夢の中の事では収まらない冥界。現実とリンクした、微妙なズレ。そうでないと確かに、自分の心に響かなくなってる。/『西遊妖猿伝』の時も思ったけれど、祝融といい、女魃といい、中国の神々のことって我々は全然知らないのだな。2013/03/17
スミス
8
まだまだ続く子蓉の媚術。前半は医鶃が中心、ぎりぎり必死の攻防。 五六がやっと覚醒したのも束の間、もはや打つ手なしか?! 後半は、顔回がやっと登場。子蓉も妤も半分登場(笑) しかも、偽孔子も出てきて、壮絶な心理戦、舌戦が続く。 最後は、女神さまの代理戦争にまで発展して・・・って、なんなんだこの物語はww 孔子の学塾のお話はぐっと引き込まれました。 2012/09/30
きさらぎ
5
やっと五六が自分を取り戻した。4冊以上にわたる彷徨。長かったなあとじーんとしてしまった。(医鶃の奴、私がこの男を可愛いと思うと憶測したのではなかろうな)「ひ弱で意気地なしで頭も悪い上に目まで悪いか」厳格で一途(女魃談)、可愛い男に弱い祝融が随分人間くさくて頬笑ましい。しかしあそこまで出張ると思わなかった。偽の孔子に惑わされる顔回、判らなくはないけどちょっと苛々した。祝融の助けでようやく落ち着いて子蓉と向き合う顔回。顔回を前にすると女はみんないらいらして地団駄踏みたくなる感じ。作者の書き癖なのかもしれない。2018/09/17