本は人の豊かさ指数本棚

この本を手にした理由の一つに１人のアメリカ人の存在が大きい。彼女は大学生時分に「日本の戦争と戦後」というクラスをとっていたというのです。遠く離れた若きアメリカ人が知っていて、当の日本人が自国の歴史を知らないほど恥ずかしいものはありませんでした。でも知らなければ、知ればいい。また、日本人なら誰でも知っているマッカーサー。彼はどんな人間で何をしたのかということにも気になりネットでこの本を知りました。レビューも良さそうので少し厚めの本ですが読むことにしました。

　読んで感じたことはマッカーサーが思っていた以上に様々なことをしたことに驚き、著者は日本弱体化と対共産主義を声高にしていたように読めた。間違ってはいないだろうが、果たして全てが戦勝国のご都合かと思うとそうではない気がする。国のあり方に絶対正義がないにしても、所謂将来的にも、国際的にも適応できるように立ち上がらせたのも彼の存在は計り知れない。著者のように、マッカーサーの方針や思想に矛盾を感ずる場面はあったが、わたしは戦前のままでは良い未来が築けたかというと疑問を残す。

　著者のメインで扱うのが憲法９条であり、その背景と主張が印象的であった。この９条に関しては様々な人の経験、想いが複雑に絡み合っていて議論が収束しづらくなっている。しかし、著者の言わんとするところははわからないでもない。７０年前に作られた憲法。マッカーサーのいわくつきの９条。この歴史と向き合って、現代に適応するものに考え直す必要を感じる。また、日本に限らず、惨劇から復興したドイツにも目を向け、今、日本人として何が正しいかを問うべきではないか。それが、戦争に負けた国を母国とした国民の義務であり、戦没した英霊にたむけるせめてもの哀悼ではないだろうか、そんな気がした。

マッカーサー

一九八四年ハヤカワｅｐｉ文庫（新訳版）

本が好きなアメリカ人にお勧めされた1冊…

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政治　思想

アラバマ物語

本が好きなアメリカ人と話をしていた時に…

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本が好きなアメリカ人と話をしていた時に、好きな本ベスト５に入る本ということでお勧めされた本です。何度か話をしていて、本に対する趣向が似ていると感じていたので期待できるだろうと思い読んでみました。
　内容としてはアメリカ南部での黒人差別を題材にした本です。アメリカでは学生の読書感想文の宿題の定番の本で、アメリカ人なら知らない人はいないということでした。
この本は古く、１９６０年に出版されたもので、実際に手にとって読んでみると言葉遣いや仮名遣いに年代を感じるものでした。翻訳が上手でないため、読みづらいと言うと、彼女はその本は南部訛りが強すぎて、南部出身の人ですら読みづらいのだから、きっと翻訳にも苦労したと思う、と返されてしまった。なるほど条件は同じだ。そしてこのタイトルはどういう意味かと聞くと、本を読むうちに分かる、と。アメリカ人ですらタイトルだけを聞くと意味が分からないということだ。この意味も含めて、少し我慢をしながら読み進めることにした。
アメリカの学生が読む本とあらば、人種差別などシンプルに描かれているだろうと思ったが、人間の複雑な心理や背景が絡み合い、痛快とはかけ離れ、少し考え込んでしまうような内容でした。現在とは違う社会的背景などがよく伝わってきました。描かれたことはきっと黒人が受けてきた差別の苦しみのほんの僅かにしか過ぎないのでしょうがそれでも、私には重くのしかかりました。
そう感じるのも、私が差別を感じることがあったからです。日本にいる限りではそういう機会に会うことは少ないですが、いざヨーロッパに行くとそれはもうあからさまでした。もちろん皆がそうだとは言いません。ただ、周りとは違う何かがたくさんありました。
それにまだ私はましなほうだということを感じたのが、英国出身の黒人と話している時、偶然差別の話題になり、その際に彼が悲しいことだと言った表情が全てを語っていました。私はかける言葉を失ったほどです。私が何か言ったところでそれは意味を持たないことも知っていました。
まだまだ閉ざされた日本では大きく取り上げることもないし、また理解しろということも難しいだろうけど、それでも実態を知らないことは恥です。私たちは、外に出なければ差別を受けることは感じることはないが、多くの人が一部の民族を軽視していることすら自覚していない、都合の良い環境だから、お勧めです

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アメリカ　歴史

ニュルンベルク軍事裁判〈下〉（新装）

これはドイツの東京裁判で、史上初めて戦…

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これはドイツの東京裁判で、史上初めて戦争を裁いた裁判です。私は東京裁判の本を何冊か読むうちに、ニュルンベルク軍事裁判に興味が湧き、この本を購入しました。

　簡単に言えば、連合国がナチスドイツを裁き、この裁判の存在意義を将来にどう示すかということです。ナチスが行ったホロコーストは凄惨だったということは周知ですが、きっとどう凄まじいかと問われたら、具体的に答えられる人はそう多くないだろう。というのも現在の人にとってそういった歴史はあまりに現実離れしているし、興味を引くきっかけもそう多くはないからだ。しかしながらヨーロッパとりわけドイツでは知らないことは許されない。では同じような道を辿った日本はどうか。現代の人は日本の戦犯について何が言えるか。日本の歴史教育は明治維新で終わるようにプログラムされているから、個人的に調べない限りは知らない方が普通なのだ。日本は戦犯処理を連合国による東京裁判だけで済ませたが、ドイツはそうではなかった。ニュルンベルク軍事裁判の後にドイツ国民により、ドイツ人を裁いた。このドイツの決定的な方針が現代の2国を全く変えた。近隣諸国の友好関係を見れば一目瞭然だろう。

　しかし、この本を読み進めるうちに連合国にも違和感を感じた。つまり、これは正義の追求ではなく報復なのか。なぜならルールが公正ではないように思えたからだ。そもそも判事が皆連合国なのだ。他にも戦勝国の戦犯とか、イタリアの戦犯、遡及法とか多くの問題があった。このように連合国が正しく、悪いのはドイツ、悲惨だった日本というのは、物事をある面から取った表面に過ぎない。他方からも見ないと、本質は見えない。一方から見れば円、他方から見れば長方形、これで円柱と予想がつく。もう他方からみて初めて円柱だと判断できる。情報は一方的で偏見的になりがちだ。しかし、必ず反対側、更には上(第三者の視点)から見ないと、良し悪しの判断はできない。そんなことを改めて感じた本でした。分厚く読み難いとは思いますが、気になったなら読んでください。損はしないと思いますよ。

軍事裁判　ドイツ

ニュルンベルク軍事裁判〈上〉（新装）

評価なし

これはドイツの東京裁判で、史上初めて戦…

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これはドイツの東京裁判で、史上初めて戦争を裁いた裁判です。私は東京裁判の本を何冊か読むうちに、ニュルンベルク軍事裁判に興味が湧き、この本を購入しました。

　簡単に言えば、連合国がナチスドイツを裁き、この裁判の存在意義を将来にどう示すかということです。ナチスが行ったホロコーストは凄惨だったということは周知ですが、きっとどう凄まじいかと問われたら、具体的に答えられる人はそう多くないだろう。というのも現在の人にとってそういった歴史はあまりに現実離れしているし、興味を引くきっかけもそう多くはないからだ。しかしながらヨーロッパとりわけドイツでは知らないことは許されない。では同じような道を辿った日本はどうか。現代の人は日本の戦犯について何が言えるか。日本の歴史教育は明治維新で終わるようにプログラムされているから、個人的に調べない限りは知らない方が普通なのだ。日本は戦犯処理を連合国による東京裁判だけで済ませたが、ドイツはそうではなかった。ニュルンベルク軍事裁判の後にドイツ国民により、ドイツ人を裁いた。このドイツの決定的な方針が現代の2国を全く変えた。近隣諸国の友好関係を見れば一目瞭然だろう。しかし、この本を読み進めるうちに連合国にも違和感を感じた。つまり、これは正義の追求ではなく報復なのか。なぜならルールが公正ではないように思えたからだ。そもそも判事が皆連合国なのだ。他にも戦勝国の戦犯とか、イタリアの戦犯、遡及法とか多くの問題があった。

　このように連合国が正しく、悪いのはドイツ、悲惨だった日本というのは、物事をある面から取った表面に過ぎない。他方からも見ないと、本質は見えない。一方から見れば円、他方から見れば長方形、これで円柱と予想がつく。もう他方からみて初めて円柱だと判断できる。情報は一方的で偏見的になりがちだ。しかし、必ず反対側、更には上(第三者の視点)から見ないと、良し悪しの判断はできない。そんなことを改めて感じた本でした。分厚く読み難いとは思いますが、気になったなら読んでください。損はしないと思いますよ。

軍事裁判　ドイツ