内容説明
過酷な戦いと長旅の末、軍務から離れる決意を固めたローレンスは、オーストラリア内陸の地“緑の谷間”でテメレアとともに隠遁生活を送っていた。ところが、安息の日々を打ち破るように、意外な英国の使者がやってくる。南米大陸に勢力を拡大するナポレオン軍に対抗するため、英国政府がローレンスに軍務復帰を求めていた。胸に秘めた愛国心とテメレアの闘志を支えに、ローレンスたちはふたたび大海原へ、そして未だ見ぬインカ帝国へ――!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
35
ローラン・ビネ作品文明交錯 (海外文学セレクション)でも登場したインカ帝国がここでもナポレオンから熱視線を送られる存在に。本作の場合アタワルパは亡くなっており、娘にナポレオンとの婚約話が持ち上がる。折しもナポレオンはジョセフィーヌとの離婚が成立しておりタイミング的には良いが、どちらも国のトップなら遠距離婚だ。翻訳先が長らく見つからず、7作目まで随分間が空いてしまったが、あと2巻で完結らしい。次作は鎖国時代の日本とか。日本のドラゴンは朱雀とか日本名がちゃんとついているのだろうか。2023/06/10
鐵太郎
17
8年のブランクを経て「テメレア戦記」日本版再始動。オーストラリアに流刑となった大型ドラゴン・テメレアと元英国士官でテメレアの担い手であるローレンスに、新たな任務が与えられます。なんと英国航空隊の空佐(Captain)へ復帰しての。むろん先任順位は元のまま。任地はインカ帝国が支配する南米大陸。その過程で起きる、とんでもない苦難また苦難の連続、そして七転八倒の末に見えた驚くべき未来。はたしてテメレアとローレンスの運命は──と書くとあまりに薄っぺらなんだけど、真面目にお話を追っていてはこの十倍でも足りないんだ。2023/06/28
tom
16
シリーズの7巻目。たいして面白くないというか、少しも面白くないのだけど、ここまで読んだから仕方ないと、ただひたすら忍耐の頁めくり。疲れた、疲れる、惰性で読む。面白くない原因は、政治的主張をファンタジーで現そうとする著者の姿勢なのだけど、これに付き合うのは思いのほか苦痛。まあ、あと1冊、日本も出てくるらしい。それから、「テメレア」が「テレメア」に脳内変換されるのよね。この脳内変換する理由、言語学の本で読んで面白がった記憶はあるのだけど、もう忘れてしまった。すぐ忘れるのだ、なにもかも。2025/06/01
びぃごろ
15
待っていた!ようやく続きが読める( ノД`)…原著はとうに完結済なのに、日本語版は6巻で止まったままなんてありえん!と憤慨してました。ラスト3作は版権取得が進んでおらす、訳者の那波さんが全巻あらすじと読みどころをまとめた企画書で働きかけを続けた結果、2021年に道が拓けたそう。絶版の1~6巻は文庫で改訂の上、復刊嬉し。7巻はインカ帝国が舞台。人間の数が少なく、ドラゴンが人を支配する世界。ドラゴンが担い手を選ぶもののイギリスでは人が上に立つ。中国ではドラゴンを高貴なものとして扱っていた…色々考えさせられるな2023/06/21
もち
12
「おまえは最高にイカれたドラゴンだよ」◆緑の谷間に隠居するローレンスたちを迎えに来たのは、あの男――。今なお存続する帝国で、闘技場での決闘、未知の統治システム、倒立した竜と人間のコミュニティに触れる。国と竜の狭間に飛来した、ドラゴン中隊が均衡を打ち破る。■シリーズ第7作。大波乱の道中から始まる、探検と外交と文化交錯。不思議な縁を紙一重で繋ぎ留めた先で陥るのは、斬新なベクトルの大ピンチ。衝撃の救済に、笑ってはいけないのだが笑ってしまう。数多の刊をまたぐサプライズまで飛び出す。2023/12/05