内容説明
北京を離れ、マカオから英国へ海を行こうとしていたローレンスたちに、レントン空将の筆跡で、即刻イスタンブールへ向かい英国が買いつけた竜の卵三個を受け取り、速やかに帰国するよう記された命令書が届けられた。しかし、この任務を果たすために空路や海路を行くのは時間的にも戦局としても非常に厳しく、ローレンスたちは苦悩の末、命令書を届けた謎の人物サルカイを案内人として雇い、干上がったタクラマカン砂漠を越える過酷な陸路にてイスタンブールへと向かう決意をする。長い旅路では日照りや砂嵐に終始襲われ、山岳高地で雪崩に遭い、峠では山賊に襲われるなど苦難の連続だったが、野生ドラゴンの襲来にも負けず、なんとか窮地を脱し、ようやくオスマン帝国に辿り着く。しかし、そこで高官のムスタファから伝えられたのは、「卵は渡すことができなくなった」という驚愕の話だった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もち
9
「世界はけっこう狭いものです」◆秘密指令を受け、オスマン帝国へ卵の引き受けに向かったローレンスたち。信用は置けないが腕は確かな案内人とともに、野生の竜の巣窟を突っ切ることに――。帝国で待っていたのは、金貨消失の報。取引は闇に葬られるのか。■シリーズ第3作。今度の舞台は砂漠の果ての帝国。海路からは一転、数多の竜を巻き込んだ山越えから、重要人物の突然死や失踪まで、大冒険と謎解きが待ち受ける。妖しい魅力が漂う流浪の運び屋に導かれた先。山積していた謎の答えそのものが、謁見の場に君臨する。2023/12/05
BECHA☆
6
帰国すべくマカオで風待ちをしていたテメレアとローレンスに舞い込んだのはレントン空将からのイスタンブール行き指令だった。 喧々諤々の議論の末、サルカイという謎の案内人を雇い陸路砂漠を旅する一行は野生のドラゴンと出会う。2022/04/30
つくし
4
中国での駆け引きが終わったと思ったら今度は砂漠で生きるか死ぬか。戦記とのタイトルだけれど、国家間の戦いを念頭においているのはローレンスで、テメレアは人間とドラゴンの関係性やドラゴンの尊厳について視野が広がっていることに物語の奥行きを感じます。ローレンスもテメレアも、それぞれに実のところいろんな課題に直面していて面白い。2022/11/17