内容説明
中国がテメレアの返還を求めてきた。ナポレオンに献上したはずの竜の卵が、英国艦隊に奪われたことを知って、ヨンシン皇子を代表とする怒りの使節団を送り込んできたのだ。英国は、ナポレオンの猛攻に苦しむなか、中国の怒りを鎮めて、友好関係を築きたい。英国政府代理の外交官ハモンドとともに、ローレンスとテメレアはドラゴン輸送艦に乗り、はるか中国をめざすことになった。艦内には、英国人と中国人のあいだに不穏な空気が流れ、水兵と飛行兵のあいだにも揉め事が生じていく。そして、テメレアはアフリカで、奴隷貿易を目の当たりにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃお
21
シリーズ二作目。テメレアの返還を求めてきた中国に、友好関係を結ぶためにローレンスはテメレアと共に中国へ向かう事に。で、中国までの航路の中で起こる様々な出来事は海洋冒険小説の趣きで、航空ものとばかり思っていたので二作目にして意表を突かれた感じです(笑)。しかしその行程の中でローレンスとテメレアが目にする世界とは?!2022/05/13
もち
9
「彼女は敵じゃなかった」◆テメレアの返還を求め、中国の使節団が現れた。テメレアの意志に反し、ローレンスと黒竜は中国への輸送船に乗せられることに。海軍、航空隊、中国一行のいがみ合う三勢力が乗り合わせる船は、やはりハプニングに満ちていて――■シリーズ第2作。開幕から大ピンチ、逮捕直前という衝撃の場面から始まる怒涛の海洋冒険劇。最強クラスの竜が絡み、ただでさえ難しい外交は混迷を極める。連れ行かれる中でも竜と男の絆は解けないが、人間の暗部にテメレアが迫るエピソードも。心苦しい、我慢の上巻。2023/12/05
BECHA☆
6
中国から皇帝の兄がロン・ティエン・シエン(テメレアの中国名)の返還を求めて来英。波風を立てたくない政府は承諾しローレンスとテメレアは八か月の船旅に出る。2022/03/31
つくし
5
ローレンスの苦悩。唯一無二のテメレアと国交だけでなく、航海を共にする水兵と航空隊という部下たちの取りまとめ、そしてテメレアという存在そのものとの関わりに、己の感情と理性の折り合いをつけていく姿に頼もしさを感じます。その実、ものすごい葛藤があったり、ことテメレアのこととなると幼さすら滲み出るような感情をもつ姿に愛しさすら感じたりして。ローレンスの人間味が楽しめる巻だと思いました。2022/10/09