内容説明
昭和23年秋、「八つ墓村」事件を解決した金田一耕助は、岡山県警へ挨拶に立ち寄った。ところがそこで、耕助は磯川警部から、無気味な死仮面にまつわる話を聞かされる。東京で人を殺し、岡山に潜伏中の女が腐爛死体で発見され、現場に石膏のデスマスクが残されていたのだ。デスマスクはいったい何の意味なのか。帰京した耕助は、死んだ女の姉の訪問をうけ、さらに意外な事実を聞いて、この事件に強い興味をそそられた。三十年ぶりに発掘された巨匠幻の本格推理に絶筆「上海氏の蒐集品」を併録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
konoha
46
初めての横溝正史作品。始まりはドロドロしていたが、全体的には軽やかで読みやすい。岡山で発見された女の腐爛死体の現場に残されたデスマスク。それと同じものが三姉妹の姉に送られ、三女の顔だと言う。途中で女学校が舞台となり、白井澄子の視点になるので清々しい。謎の三姉妹、赤インクなど好きなキーワードも多め。短い章立てで場面転換が鮮やか。解説を読んで、第四回の原稿が見つからず解説者が代筆したと知り驚いた。自然に読めるので言われなければわからない。「上海氏の蒐集品」は切なさと土っぽさが漂い、余韻が残る。2024/09/11
おぬち
35
表題作「死仮面」と「上海氏の蒐集品(コレクション)」の2作品が収録されています。死仮面は読みやすく面白い。賢い女の子が大好きです。金田一耕助ってほんと抜けている名探偵感が最高。もう一つのほうは耕助出てきませんが、えええ、そういう終わりなのねという感じ。よく練られた短編と思います。2022/12/31
coco夏ko10角
21
『死仮面』金田一耕助シリーズ。八つ墓村事件を解決した金田一は岡山県警でデスマスクの話を聞き、東京に戻ると依頼人がデスマスクにまるわる相談を…。澄子が賢くていい子だ。死仮面小道具が効いていて女子学園でのドタバタ面白かった。 『上海氏の蒐集品』事件もラストも、そうか…。2022/12/06
MATHILDA&LEON
20
愛してやまない金田一耕助シリーズと他一作品が収録されている本作。金田一耕助登場『死仮面』ではある全寮制の女子校が舞台となっているのだが、奇妙でおぞましい事件であり、衝撃度はなかなかのもの。また『上海氏の蒐集品』では変わりゆく現代(風景)の哀愁と、人々の残酷な運命が実に痛々しく、短編とは思えないほどのインパクトだった。2023/03/10
nishiyan
14
表題作と『上海氏の蒐集品』が収録。『死仮面』は『八つ墓村』事件解決後、磯川警部を訪問した金田一耕助が不気味な死仮面にまつわる話を聞いたことから奇妙な殺人事件に挑む内容。異父姉妹の微妙な関係性を軸に男女の色と欲が交差するのは金田一ものらしい。事件の果てに残された者たちはどう生きるのか気になった。『上海氏の蒐集品』は記憶喪失の画家・上海氏が母と確執がある娘と知り合い、交流するのだが四年が経ち、母娘は共に愛するものを持つようになり…という内容。金田一は未登場。殺人事件に巻き込まれた上海氏の悲惨さは後味が悪い。2023/03/02
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