内容説明
晴明と博雅、儚いこの世を楽しまん!
安倍晴明と源博雅が平安の悲喜こもごもに奔走する12篇。
少納言・坂上彦麻呂は、夜な夜な怖ろしげな美女から手に噛みつかれる夢を見る。
目覚めると実際に赤い傷が―蘆屋道満が活躍する「にぎにぎ少納言」、
虫めづる露子姫が登場する「塔」、
そして今日も晴明と博雅は京の怪異に奔走する。
夫婦の情愛、前世の因縁、虫の音と妙なる琵琶の響き。
昭和・平成・令和と愛され続けて16巻目!
※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
91
最新刊文庫版陰陽師ですが2年前の出版されたときに読んでいて再読ですが結構忘れています。晴明と博雅あるいは道満、露姫など常連が結構出てきて楽しい話満載です。相人、月を呑む仏、蝉丸などがいい雰囲気でした。2021/10/16
眠る山猫屋
66
道満さんの単独ストーリーすら描かれる偏愛にニヤリ。獏さんの愛情が伝わるなぁ。露子姫も愛らしい。サラリとした短編ばかりだから、静かな宵闇刻にちょうど良い。この巻では、結びの言葉に静かで深い余韻を残す物語が多かった。そして打ち捨てられた者たちの哀しみに寄り添う博雅と、それを見守る晴明。いつまでも待てる物語、そして何度でも読み返したくなる物語でもある。2021/11/11
アルピニア
57
シリーズ16巻。蘆屋道満、虫愛づる露子姫も登場する12篇。特に良かったのは博雅の本性に迫る「相人」。清明は博雅を好もしいのではなく、敬愛していると感じていたが、その意味が解き明かされた話だった。「月を呑む仏」と「蝉丸」は、情景描写が美しく、心地よく、ずっと浸っていたい話だった2021/12/18
紫綺
54
単行本にて読了。漢字や平仮名の純和風なオノマトペが新鮮。作者が意識したのか、常套シーンが減ったような気がする。手抜きとは思わないから続けて欲しい。「いこう」「いこう」そういうことになった。が好き♪2019/05/31
みやび
52
このシリーズも16弾目。久しぶりに手にするも、やはりページを開いた瞬間に、晴明と博雅が座して酒を酌み交わす、季節感溢れる雅な世界に惹き込まれていく。文体は段々と簡素になり、無駄が一切省かれていっているようにも感じられるけれど、それが却ってこの世界の美しさを引き立てているようにも思える。最後に蝉丸と博雅が共に楽器を奏でて語り合う場面で静かに幕を閉じ、情緒溢れる極上の余韻に浸ることが出来るのも魅力だ。博雅が奏でる笛の音のように、ほろほろと物語がこぼれてゆく。2022/05/07




