内容説明
繁栄を極めたかつての都は、焦土と化した。長安に遷都した董卓の暴虐は一層激しさを増していく。主の横暴をよそに、病に伏せる妻に痛心する呂布。その機に乗じ、政事への野望を目論む王允は、董卓の信頼厚い呂布と妻に姦計をめぐらす。一方、エン州を制し、百万の青州黄巾軍に僅か三万の兵で挑む曹操。父・孫堅の遺志を胸に秘め、覇業を目指す孫策。そして、関羽・張飛とともに予州で機を伺う劉備。秋の風が波瀾を起こす、北方版<三国志>第二巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
407
エディプスコンプレックス?みたいな呂布。悪辣さが全く感じられず、なるほどコレは人気出るなという感じ。とにかく強く、それでいて、関羽と張飛と刃を合わせたシーンなんかは、やりすぎず適度に抑制効いていて、嘘くさくなっていない。でも個人的には一番好きなキャラは赤兎。赤兎に次いで魅かれたのは孫策&周瑜。この若手コンビかなり良いのに、孫策は出番一瞬なのが惜しい…。一旦、劉備の影が薄くなって、しばらくは曹操の飛躍が続く。他の方のレビューでも見かけたように『蒼天航路』に近いイメージの曹操像で、画が浮かぶ。2018/12/07
ehirano1
162
演義では悪役のイメージが強い曹操ですが、演義においても当方は曹操になぜか興味を持っていました。北方三国志ではその曹操が英傑たちの中で最もsmartに描かれているような印象を受けます、今のところ。しかし、よく首が飛びますね・・・・・、呂布なんて完全に殺戮マシンです。2017/06/10
あすなろ
117
北方氏が三国志を描き始めた頃のコメントを思い出した。現代小説では描けぬことが歴史小説なら思いのまま描けると。それを思い出した。縦横無尽に駆け抜ける多数の武将達を描く舞台が氏は欲しかったのだろう。今、それが分かる。帝を担ぐ・政争の具に使う・担がない・利用する。様々な理由から駆ける。闘う。様々な眩しい場面があるが、劉備の考えが見えてくる、大志は徐州になく、の章が好き。但し、好きなシーン・台詞・描き方多く、書ききれないのが本音である。後、前巻からだが、呂布が個人的に好きだ。2017/10/11
Kircheis
97
★★★★☆ 一人一人の英雄がそれぞれに魅力的。 特に呂布はだいぶ良い感じに描かれてる印象。2018/01/27
mayu
79
この巻は呂布が印象的だった。戦においては圧倒的な強さを誇り、権力には興味がなく戦さえできればそれでいいと言う。その一方で、内面では脆い部分も持つ。妻への寵愛、妻が病の床に臥した後の揺れ動く気持ち。愛馬の赤兎との強い結びつきと、愛馬の老いを感じた時の哀愁。強さと脆さ、どちらもあるからこそ惹かれる。劉備もかなりの戦略家。力を蓄えつつ活躍の時を待つ。自分の評判を気にしたり、女性に溺れてみたり。徳の将軍とは呼ばれていても、案外、人間らしい欲があるのもまた良い。2021/02/20