内容説明
この橋の向こうには、何かが待っている。渡りきれれば……。
しっとりとした筆づかいで、江戸に生きる人びとの綾を時代推理の俊英が描ききる、船宿『篠屋』の綾が遭遇した五つの謎と事件の行方……。
江戸有数の花街・柳橋の船宿「篠屋」に、成島柳北という、学者として将軍家に仕えて来た、俊才の誉れ高い幕臣が再来。柳北は幕府上層部の無能ぶりに苛立ち狂歌にしてからかい、奥儒者の職を解かれ閉門の身。学者であるも名うての遊び人柳北の耳に、若き日の情人・久米八が横濱で異人相手のラシャメンに身をおとすという噂が。で、篠屋の主に相談に…。(第五話「へちま」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
36
綾は「篠屋」の奉公にかなり慣れてきた。今回登場の有名人は成島柳北、益満休之助とやや渋め。2019/08/29
ひさか
6
2019年9月二見時代小説文庫刊。シリーズ3作目。夜の河、春雷、夕映えの記、雨が上がったら、へちま、の5つの連作短編。幕末を感じさせる出来事があるのですが、あまり時代は感じませんでした。2020/08/23
goodchoice
2
幕末の船宿を舞台にしたこのシリーズも三作目となり、主人公の綾を中心に登場人物のキャラクターもはっきりとしてきて、なかなか楽しめる筋立てとなっている。当時の粋すじのあり方が描写され面白い。2019/10/23