内容説明
唐津藩嫡子の身ながら藩から排されつづけた元老中の究極の決断!
幕府崩壊の尖風と黒煙の下、小笠原長行に帰国の誘い。
またも藩存続の生け贄か!
もう藩には左右されぬ──。
(第五話『春告げ鳥』)
慶応四年三月三日、三度目の老中を辞したばかりの小笠原長行のもとへ国許の唐津から使者が訪れた。時節柄、帰国されては…という藩主からの誘いであった。長行は二歳で藩主の父を亡くし、藩国替えの危機脱却のため、後継者から排された。こたびは、新政府への生け贄として長行を呼び戻す。もうこれ以上、藩存続のためには動かぬ。長行は究極の決断を己に迫った。(第五話)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
44
小出大和守、河竹新七、小笠原長行、沢村田之助、関連して人形師・松本喜三郎等々が登場する5話からなる連作短編集。だけど、このシリーズの主役は綾さんで柳橋の船宿「篠屋」が舞台だと思って読み続けているのでもう少し「篠屋」の綾さんの物語を読みたい気がする。2021/12/15
ひさか
14
2021年12月二見時代小説文庫刊。シリーズ7作目。ペリーさんの拳銃、江戸の穴、生人形の脚、残んの花、春告げ鳥、の5話の連作短編。幕末の世相を切取った話にすっかり路線変更した柳橋ものがたり。綾さんも篠屋の人々も世相に流されているだけなのが寂しい。2022/03/09
goodchoice
2
幕末の慌ただしさが伝わる一作だった。主人公の綾の出番が少なく残念。2022/01/17
さ〜くん
1
第4巻に続いて、最後の老中・小笠原長行が登場。子母澤 寛 の「花と奔流」に描かれる場面を思い起こすようなしっとりとしたタッチで描かれていて素晴らしいです。 ここにきて歴史的な人物を多く描いているのは、”時代”を描いているからなのでしょうね。2023/08/04