内容説明
死か、右脚切断か──。
名女形・澤村田之助、その凄絶な決断と意地。
船宿『篠屋』の綾が瞠目した歌舞伎名優の仰天の決断!(第四話『ちぎれ雲』)
時代推理の俊英がしっとり描く六つの謎と事件の行方。
柳橋の船宿『篠屋』の奥屋敷に江戸歌舞伎随一の名女形・澤村田之助が戸板で運び込まれた。二年前に舞台で傷めた古傷から毒が入り、骨や肉が腐っていく難病のため、秘密裡に御典医の往診を仰ぐことになったのだ。蘭方の御典医は、一刻も早く脚を切断しないと命にかかわる、と診断した。武家の娘で訳あって篠屋の住み込み女中になった綾は、田之助の仰天の決断を知って……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
22
幕末になって勝安房守の名前が出てきたり怪しい坂本龍馬もどきが登場したり…イギリス人の妻としてイギリスに渡る女性が登場したり。表題作は澤村田之助の話。まだ病気が片脚にとどまっている状態なので悲惨さはない。『雛のお宿』で綾さんの身の上がややはっきりする。2019/02/14
ひさか
6
2019年2月二見時代小説文庫刊。書下ろし。シリーズ2作目。飛ばしていた巻。6つの連作短編。横浜開港以降の幕末の時代に、船宿で働く、綾の視点が面白い。2020/10/01
goodchoice
2
いろいろな登場人物が出てくるが、話の基本は地味目なので、そのアンバランス感が面白い。2019/03/05
ころみ
1
2巻まで読んだ。綾さん、あんまり武士の娘っぽくないような。でも面白いので続けて読むぞ。 というか、銀次……。2023/03/12
tsubaki
1
柳橋の船宿、篠屋の第2弾。名女形の沢村田之助、坂本龍馬(の偽物)、勝海舟、ヘボン医師など実在の人物が登場する。 綾さんの身の上が明らかになり、その頃の友達に再会する「雛のお宿」. 脱疽で足の切断を余儀なくされた田之助の「ちぎれ雲」 下っ端の船頭見習い、竜太が船で接触事故を起こして揺すられる「夜桜銀次」など。 篠屋のご近所「柚子亭」の老女将が用心棒として雇った怪しい男に押し込み強盗の疑いが。柚子亭へ口利きはなんと勝。柚子婆への綾の一言も良かった「誰かに似た人」が一番好き2019/08/20