内容説明
しっとりとした筆致で、江戸に生きる人の綾を時代推理の俊英が描く
訳あって武家の娘・綾は、江戸一番の花街の入り口に建つ船宿の住み込み女中に。
そこで遭遇した思いがけぬ六つの謎と事件の行方……。
船宿『篠屋』の勝手口から端正な侍が飛び込んで来て、追われていると言う。予約客の寺侍・梶原だ。女将のお廉は梶原を二階に急がせ、まだ目見え(試用)の女中・綾に、あんたも急いで二階に上がり、湯文字ひとつで梶原様の床に入るんだ、と叫ぶ。追手の足音も迫る。同衾を装うための芝居をしろというのだ。綾は床で丸くなって考えていた。この船宿は断ろうと。だが……。
6つの謎と事件の行方新シリーズ第1弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
23
口入屋に紹介されて船宿『篠屋』で下働きすることになった綾・28歳の日常と軽いミステリーを描く連作短編集。シリーズ物の1作目なので人物紹介的な面も多い。が、綾については不明な点が多い。三遊亭円朝や河鍋暁斎はこれからも登場するのだろうか。同じ作者の『日本橋物語』シリーズが好きだったので期待している。2018/08/28
のんちゃん
19
柳橋の船宿「篠屋」で仲居として働く綾が、その宿で遭遇する謎と事件に関わっていく話。初読みの作家さん。帯に「時代推理の俊英が描く」とあったので読んでみたが、江戸市井ものフリークの私としては、登場人物にもあまり魅力を感じず、謎や事件の結末もあっさりした感じがしたので、う〜ん、あんまり合わなかったかな。でも、綾の訳ありの感じの理由が知りたくはあるかな。他にも同様のシリーズをだしておられる著者。今度は別シリーズを読んでみて、それから、相性は判断しようと思う。2019/07/27
goodchoice
7
意外と冷静な目線で物事を見る綾に好感を覚える。幕末という時代設定もあり、ややきな臭い感じも話の筋に良いスパイスとなっている。是非、続巻を望みたい。2018/09/15
ベローチェのひととき
4
船宿「篠屋」へお試しで働いた後で、正式に働くことになった綾が主人公の6編からなる連作短編集。綾に関しての経歴などがまだ語られていないので続きがありそう。作風はとても読みやすかった。盛り場を舞台とした物語だからか、最後はある程度ハッピーエンドでまとまるものの、全般的に人生の悲壮感的なものが感じられた。2019/08/02
ひさか
3
2018年9月二見時代小説文庫刊。書下ろし。シリーズ1作目。6話の連作短編。江戸人情ものに、捕物要素もある定番時代物。なかなか楽しめて、次作が待ち遠しくなりました。2019/01/21