内容説明
天武天皇崩御後、女性天皇によって護られ、聖武天皇へと継承された天武直系の皇統。皇位継承を実現するために女性太上天皇が担った役割とは何かを説く。即位した聖武を待ち受けていたのは相次ぐ天災、疫病の大流行。国家の危機に苦悩する聖武は仏教に帰依し、平城京は仏都の彩りを濃くしていく。古代社会に仏教がどのように根ざしていったのかを究明するとともに、平城京がいかにして形成され、変遷していったか、その実像を探る。
目次
序章 天皇の都・仏の都
第一章 飛鳥から平城へ
第二章 平城宮の儀礼と政務
第三章 聖武天皇
第四章 行基と知識と天皇
第五章 四字年号時代
第六章 桓武天皇
第七章 平安京の王権
第八章 仏都の命脈
学術文庫版のあとがき
参考文献
年表
歴代天皇表
天皇系図
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
104
聖武天皇の動きがけっこう謎。日本全国死亡率25~35%て恐ろしい(天然痘) ビジネス用語使ったりして割と面白い2025/02/07
Shoji
46
奈良時代の天皇に関する叙述です。権力争いに明け暮れた時代。宗教、タタリ、宣託、密告など、これら非科学的なことが政治をする上で正当な理由になり得た時代です。一方、律令制が整い、海外に目を向け、国家の体が発芽した時代でもあります。悲しいことに貧富差による差別の走りの時代かとも思います。そんな時代の歴代天皇について解説されています。この本は、聖武天皇を美化している嫌いがありました。私は、聖武天皇こそ歴代天皇の中で最も専制君主だったと思っています。もちろん私見です。2019/11/18
∃.狂茶党
11
一巻と比べて、だいぶ読みやすく、理解しやすい。 資料が増えたし、語るべきこともだいぶ整理されたのだろう。 しかし、仏教伝来から、日本古来の祭儀を凌ぎかねないほどの隆盛を得た、仏教の教え自体はよくわからない。 最後の方で、仏教についてちょこっと触れてはいるが、そこら辺は別の本を読まないといけないのだろう。2025/06/23
ふたば
5
日本の歴史の中で、一番興味のある時代に関する本。内容が濃く、一筋縄では読めない。一度、一通り読んだが、これからも継続的に、各パートをじっくり読みこんでいきたいと思う。聖武天皇が目指した、壮大な仏教の都。深く国を憂慮し、御仏の加護を願った都は、桓武天皇のあまりにも(有能ではあるようだが)冷徹な裁断によって、置き去りにされたが、その後も嵯峨天皇所縁の皇族・貴族によって守られた。長い時の中で、ゆっくりと朽ちて行きはしたが、今でも、多くの日本人が郷愁を感じる場所であると思う。2018/05/08
chang_ume
5
全国平均死亡率が25〜35%(!)とも推計される破局的な「天平の疫病大流行」から、御霊信仰・太子信仰・神仏習合・大仏建立などを通じて救済・復興される列島社会。その時代状況のなかで、七大寺を核とした「仏都」である平城京が、宗教センターとして廃都後の平安期以降も機能を続けました。その他、天皇譲位や女性天皇の問題など、「天皇」を軸とした叙述の一貫性が通史的理解を促します。律令国家から王朝国家への転換について、「承和の聖代」と称された仁明朝を画期とする理解も新鮮。古代前期を見通す好著です。2018/02/15
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