内容説明
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康ら「天下人」に、天皇はいかに渡り合ったのか。正親町天皇が発した日本史上初めての「キリシタン禁令」を無視した信長。秀吉の権威を天下に誇示することとなった後陽成天皇の聚楽第行幸。大明国征服の野望を抱いた秀吉の「皇居の北京移転計画」。家康の意向に従わざるを得なかった後陽成の譲位と後水尾天皇の即位。信長上洛から家康の死まで、激動の時代を天下人ではなく天皇を主人公として描き出す。
目次
プロローグ 正親町天皇のキリシタン禁令
第一章 義昭・信長の入京
1 義昭・信長入京以前
2 義昭・信長の入京
3 義昭への将軍宣下
4 領地等の回復
5 禁裏費用の確保
6 戦争と天皇
7 義昭・信長の位置
第二章 正親町天皇と信長
1 信長の天下掌握
2 探り合う天皇と信長
3 天皇と戦国大名
4 信長の朝廷への攻勢
5 信長の戦いと天皇
6 禁裏・天皇と距離を置く信長
第三章 天下人秀吉の誕生
1 本能寺の変とその直後
2 朝廷に接近する秀吉―関白任官
3 戦いと天皇
第四章 後陽成天皇と朝鮮出兵
1 後陽成天皇の即位と聚楽第行幸
2 北京への移徙―朝鮮出兵
3 対明講和交渉と後陽成天皇
4 晩年の秀吉と後陽成天皇
第五章 後陽成・後水尾天皇と家康
1 譲位一件と豊国大明神
2 天下人家康
3 家康への将軍宣下
4 後陽成天皇の譲位と後水尾天皇の即位
5 後水尾天皇即位後の朝廷
6 豊臣家滅亡と禁中ならびに公家中諸法度
エピローグ 「権現」か「明神」か
学術文庫版のあとがき
参考文献
年表
歴代天皇表
天皇系図
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
14
三人の天皇と、三人の天下人を描く。 これまでと異なりぐっと時代が狭まる、戦国時代から、徳川の時代の始まりまで。 しょうがないのかもしれないが、天皇よりも、武家のことにページが割かれている。 天皇の人となりは、いまひとつ鮮明ではないが、これまでの巻よりは具体的。 んで、信長や秀吉は野蛮だけど、家康は悪いやつだなって思った。 この本の終わりの方で、宮中に侵入した武家はついに勝利を収め、天皇たちは徳川の下に置かれることになる。 宗教方面のことが謎だらけだけど、このシリーズで描かれるんだろうか。2025/07/05
chang_ume
5
近世初頭の公武関係。前半の信長期は、主に天皇側の生き残り策として叙任や武家参内が要請される。この時期、公武関係に対して主たる動機をもつ側は天皇(正親町天皇)だったことが明らかにされます。叙任と参内はともに朝廷財政の重要な財源だった。また次の豊臣期、秀次事件に伴い発令された「御掟」「御掟追加」が全階層を対象とした法としては豊臣政権唯一といってよく、後の徳川期の「武家諸法度」「禁中並公家中諸法度」に先行とする指摘は注目でしょう。公武関係の近世にとって、画期は豊臣政権ということか。2018/07/27
Eiji Nanba
0
今回は織田信長の登場から徳川家康の死まで。武士が隆盛してくるにつれて天皇は徐々に「権威を授ける存在」になってきた。それでも信長以前は権威のお墨付きが欲しくて天皇に近づく者が多かったが、信長以後は主客が逆転していく様子が見てとれる。そして遂に公家諸法度が出る…。ドラマチックです。2019/10/18
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