内容説明
幕末の混乱の中で皇位に就いた16歳の少年は、伊藤博文ら元勲たちと信頼関係を結び、「建国の父祖」の一員へと成長していった。京都を離れて江戸城跡に新宮殿を構え、近代憲法に存在を規定された天皇の政治への意志とは。復古の象徴、神道の主宰者でありながら、髷を切り、軍服を着た「欧化」の体現者。洋装の皇后とともに巡幸と御真影でその姿を見せ続け、国民国家の形成期に「万国対峙」を追求した「我らの大帝」の実像を描く。
目次
序章 欧化と復古を生きた「大帝」
第一章 小御所会議の「幼冲の天子」
第二章 京都の天皇から東京の天皇へ
第三章 明治憲法と天皇
第四章 立憲君主としての決断
第五章 万国対峙の達成
終章 君主の成長と近代国家
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
44
京都の公家社会に育った16歳の若者が東京で天皇となった。本書は「やがて京都につきにけり」で終わる晩年の歌を引いて「東京において、天皇は公であった」と閉じているが明治政府の期待と要望に応えつつ近代を吸収しようとする天皇像が俯瞰できる興味深い巻だ。今回の興味は南北朝と楠木正成なのでその部分をかいつまんで。伝統行事と祭祀を主にした日常から国を率いる存在になる教育が施されたなかで士族侍従の誕生は大きい。正成については多くの士族が水戸学を好んでいたし、天皇自身も勇壮な物語を好み軍務への興味も大きかった。列国の→2025/08/28
∃.狂茶党
11
北海道、奄美、沖縄のこと無視ですか。 明治天皇の御一代記。 あんま面白くない。 読みどころは終章。 君が代がもう一つあったことを知る。2025/07/11
バルジ
3
明治天皇の生涯と「大日本帝国」の草創から国是であった「万国対峙」の達成までを描く。 記述にメリハリがあり、天皇の生身の姿と同時代の政治史が上手く絡み合っている。 「明治」という時代を演出した卓越したプロデューサーとしての伊藤博文の姿や、士族侍従として宮中に尚武の気風を吹き込ませた西郷隆盛等、多彩な人物が明治天皇の姿を引き立てていて面白い。「創られた」皇室祭祀や儀礼・制度に関する記述も豊富なので、天皇退位は目前に迫る今、立ち止まって近代の「皇室」を考える手引きにもなるだろう。 2018/12/01
Eiji Nanba
0
本書の主人公は明治天皇。この辺りからは自分にとっても大いに興味のある時代に入る。さすが、「天皇の…」というタイトルにもあるように、本書では歴史を全体的に俯瞰するというよりも明治天皇の側に軸足を置いた感じで語られている。これは自分には考えてこなかった視点だった。良書でした。2019/11/25
NoDurians
0
元勲・明治天皇の存在と前提とした明治憲法が、大正・昭和期にうまく行かなくなる理由が分かる。2018/11/30
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