内容説明
永遠の古都でありつつ、最も前衛的な都市でもある京都。権力者の欲と孤独を伝える金閣寺、懐深き南禅寺。「いのちの物語」をイメージさせる、浄瑠璃寺。あまりに有名な清水寺が教える、日本の寛容さ――。法然上人の教えを奉じ、親鸞聖人に勇気づけられる。知らなかったこの街のふしぎな魅力を、ともに。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
83
最初に読んだ中国地方の巻とはちょっと違う雰囲気。そこは京都、有名なお寺ばかり。そのためかお寺そのものの描写よりも、そこにゆかりの歴史的人物や仏教そのものの話が重きをなしていたように感じた。それもまた良し。清水寺はあまりにも観光化されててなあ、と思っていたのだが、五木さんの説明を読んで、見方が変わった。確かに日本人は何でもありで無節操に見えるが「どんな宗派とも共存する寛容を持ったカルチャー」であり「他の人々が大事にしているものを無視しない、拒絶しない」、色んな神様が存在すると言う考え方は素晴らしいと思う。2018/12/07
優希
80
京都は殆ど訪れたことがありませんが、知っているお寺はいくつかありました。とはいえ、詳しい内情を知っているわけではなかったので勉強になります。京都のお寺の魅力に引き込まれました。もう1冊京都編があるようなので楽しみです。2018/07/10
Book & Travel
42
このシリーズは以前別の巻を少し読んだことがあるが、本書は京都編。登場する10の寺院は有名所ばかりで、自分もほとんど訪れたことがある。寺社仏閣の紀行文は数多いが、仏教に造詣が深い著者だけに、宗教的思索の世界に入り込んでいくのが特徴的。著者が帰依した浄土真宗について特に詳しい所があるが、神護寺・東寺と密教、南禅寺と禅、清水寺と観音信仰なども信仰の歴史が深く語られ読み応えがある。銀閣寺の章で、乱世を顧みずただ芸術に明け暮れた人物というイメージだった足利義政を、絶望的な孤独が生んだ芸術と見ていたのは興味深かった。2020/07/27
Kajitt22
32
五木寛之の小説は直木賞受賞作『蒼ざめた馬をみよ』で衝撃を受けて以来よく読んだと思う。これは古寺巡礼記だが久しぶりに著作を手にとれて良かった。著者の文章にはつねに無常感がにじみ出ていると感じていたが、今回古寺を前にして率直にその思いを吐露している。「どんな人間でももう死んでしまいたいと思う様なことがあるだろう。私自身これまで2度あった。なんとか立ち直ってこうして生きている。」と神護寺の章で書いている。私も歳を経て、著者の仏教への深い思いに共感できた。2020/11/09
ムカルナス
14
蓮如や親鸞の著作もあり仏教に造詣が深い小説家の五木寛之が寺院の歴史を仏教史や教義も織り交ぜて易しく紐解いてくれる。金閣、銀閣、東寺、本願寺などは歴史上の有名人物が関わっているので歴史との関連が判りやすいが、清水寺、真如堂、浄瑠璃寺などは有名寺院ではあっても 歴史の情景がいまいちよく見えなかったのが本書でイメージすることができたのでよかった。2017/01/29
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