内容説明
日本海と瀬戸内海に囲まれたこの地は、多くの文化を受け入れてきた。中国の黄檗宗の面影を感じる東光寺。天下随一の奇観、三佛寺投入堂。『暗夜行路』の舞台・大山寺と森鴎外の眠る永明寺。凛然と聳える瑠璃光寺の塔を見ながら、尾道、出雲、萩、津和野――歴史を動かした土地の息吹を感じる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
83
お寺を訪れるのは好きだけれど、ただなんとなく参拝するのと、歴史的な背景などを少しでも理解してから参拝するのとでは、やはり感慨深さは違うだろうなあ。百寺巡礼、まずは地元の中国地方から始めてみた。半分は行ったことのあるお寺、当時の情景を思い浮かべながら読んだので懐かしかった。大昔に訪れたことのある一畑薬師、五木さんの「人々のさまざまな悲しみや痛みをやわらかく引き受け、抱きしめてくれる仏の存在というものを、肌で感じることができた気がする。」という言葉に、なぜか胸がジンとして、目頭が熱くなった。2018/11/07
Aya Murakami
70
向島のお祭りに出店していた地元の古本屋さんの屋台で購入した本。昨日目が覚めて睡眠薬代わりに読むはずが面白すぎて眠れなくなったいわくつきの本。 三佛寺は死人が出ているそうです。命がけの参拝、自己責任は宗教施設にこそと言っていますが、個人的には死ぬのは怖いので止めておきます。 浄土寺って通院途中のバス停に浄土寺下があるので多分そこですね。4月に尾道カフェ巡りのついでに参拝してみようかしら?明治の廃仏毀釈の影響は町の人に守ってもらえたそうで、無事だったとか?2025/02/12
優希
67
山陰・山陽は馴染みがありませんが、興味深い寺院が色々ありました。日本海と瀬戸内海に囲まれた土地であるため、独特ながら歴史を動かした風景が見られることでしょう。2018/08/09
クラムボン
18
第八巻は山陰と山陽。この地は意外と多くの国宝建築物がある。まずは鳥取の三佛寺投入堂と山口の瑠璃光寺五重塔が双璧。他に尾道の浄土寺多宝塔や福山の明王院本堂と五重塔も国宝だ。鎌倉~室町期には機内を上回る優れた建築物があるそうだ。ただ面白かったのは津和野の永明寺(ヨウメイジ)。三十代後半、直木賞先輩の有馬頼義らと津和野へ講演に行った。五木さんは現地で合流、早く着いたので周辺を観光中一行の萩原葉子(朔太郎の娘)に出くわす。「講演は終わった」と告げられる。時間を間違えていたのだ。当然夜の宴会は食事がのどを通らず。2022/05/25
ikedama99
10
読んだのは紙の本。寝床で読む本。1節ずつ読んでいった。人が寺や仏像に託すものとはなんだろうかと改めて思う。このようなものを作り上げるその原動力は何かと思う。「森鴎外の墓」が出てくるとは思わなかった。こちらの地方だったか。2023/03/11




