内容説明
紀元68年、ネロを最後に神君アウグストゥスの血統が絶え、ローマは大混乱に陥った。1年あまりのうちに3人の軍人が帝位に就くも、次々に殺されるか、失脚した。血で血を洗う内乱が繰り広げられるローマ帝国。これが同じローマ人なのか? 未曾有の危機からローマを救い、さらなる繁栄へと向かわせたのは、出自にも輝ける才能にも恵まれなかったヴェスパシアヌスとその息子たちだった。危機を糧として発展を続けるローマ帝国の神髄が描かれた一書。 ※当電子版は単行本第VIII巻(新潮文庫第21、22、23巻)と同じ内容です。
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行雲斎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
58
紀元69年はタキトゥスの言うように「すんでのことで帝国の最後の一年になるところだった」。ヴィテリウス派の狂兵がユピテル神殿を焼いてしまうのはいかにも多神教のローマだが、これが辺境の叛乱を誘発したのは否めない。いっぽう庶民は、皇帝が誰になろうと大差ない、どうぞ勝手に殺し合ってくれと言わんばかりに、血みどろの殺戮を無視したか、愉しんだという。著者はそれを「ローマの庶民の批判精神の鋭さ」と肯定的に評価している。しかし、カリグラやネロのような暴君をつけ上がらせたのも民衆である事を思えば、民衆ほど残酷なものはない。2015/03/28
星落秋風五丈原
34
ひとことで言ってしまえば、これは「ローマ版安土桃山時代」。 そうすると、この本の冒頭で死んでいる暴君の皇帝ネロが織田信長 、という設定になるが…多分お互いに自分だけはこんな奴じゃ ないと思っていることでしょう。オトー、ヴィテリウスも、光秀になることはできても 秀吉になることはできませんでした。 3人に欠けていたのは、「現状を把握し、正しい判断を下せる 能力」でした。つまり、認識が甘かったのです。 皇帝になるのは、一人でなるわけではありません。どこかの国でも起ったこと、どこの国でも 起りうることを考える。2003/04/21
James Hayashi
32
この巻はほとんど馴染みのない皇帝たちで面白みを感じない。興味を持ったのは、市民を政治的無関心に留めるため「パンとサーカス(娯楽)」を実施。病院と学校は作られなかった。病気を治す病院よりも、病気にかからないよう公衆浴場を建てる。延命に興味を持っていなかったローマ人(ストア哲学)。ポンペイ埋没など。2017/12/02
俊
23
ネロが帝位を失った後、わずか1年の間にガルバ、オトー、ヴィテリウスと3人も皇帝が替わる。この1年は歴史家タキトゥスが「危うくローマ最後の一年になるところであった」というほど国内が混乱し、危機的な状況だった。ここで滅びなかったのは、歴代の名君達が残したシステムと人材があったからだろう。その後、軍人からの叩き上げで皇帝となったヴェスパシアヌスによってローマは落ち着きを取り戻し、息子ティトゥス、その弟ドミティアヌスと皇位は受け継がれる。タキトゥスのドミティアヌスの評価は低いが、なかなか優秀な人物だと思った。2014/04/20
ロビン
21
8巻が扱うのはネロの死の後、皇帝ガルバ、オト―、ヴィテリウス、ヴェスパシアヌス、ティトゥス、ドミティアヌス、そして五賢帝の一人であるネルヴァまで、概して短命の治世が続く時代だ。人事に失敗したり、敗者の処遇を誤ったり、失言をしたり、元老院と民衆の心を掴めなかったりと、ローマの「食と安全」を守るという皇帝の責任を果たしきれない皇帝たち、内乱に、ガリア人たちの反乱ー「ガリア帝国」の宣言と事件が次々起こるが、初期の皇帝たちが築いた基礎は堅固であり、多様な出自の人材も得て、ローマ帝国はこの危機の時代を克服していく。2022/07/22
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