内容説明
「どんなきっかけで時代錯誤な忍術物語を書きはじめたのか、じぶんでも忘れてしまったが、いまくびをひねって思い出してみると、どうやら「水滸伝」を私流に書いてみないかとすすめられたことが端緒となったような気がする」(「『今昔物語集』の忍者」より)。風太郎忍法帖の多彩さの極みは短篇にある。長らく読めなかった短篇を多数収録するシリーズ第一弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けやき
49
本編は初めてですが作品は全て既読済み。しかしそんなことは関係なく面白い。山田風太郎生誕100年記念というわけでもないですが忍法帖の短編を読みたく思い手にとりました。「忍者本多佐渡守」が秀逸。稀代の謀臣がうまく描かれてます。「忍者服部半蔵」も好き。役割というものはかくまでも人を変えるのかと言ったところ。大満足でした!2022/06/01
kokada_jnet
36
忍法帖の短編作品を読むのは初めてですが。この本はイマイチ。史実にあわせた感じで、短編だと、奇想がふくらむ前に小説が終わってしまう感じ。2021/04/18
星落秋風五丈原
21
ざっと並べた収録作のタイトルを見て、「おや?」と思われた貴方は歴史に詳しい。そう、この中には忍者として後世に知られていない人が混じっている。それでも、稀代の大泥棒・石川五右衛門は、やってる事が似ているし、「忍者だった」と言われても、意外性はない。しかし、例えば明智十兵衛はどうか。明智十兵衛、よく知られている名では明智光秀。織田信長を本能寺に襲った、あの男だ。また、本多佐渡守、よく知られている名では本多正信。真田信之の舅、武功で名を挙げた本多平八郎忠勝とは異なり、専ら帷幄において謀を巡らせた家康の忠臣である2004/06/24
ヨーイチ
8
遅ればせながら、忍法帖短編集です。筑摩版揃えたいな〜。がははと笑いながら、夏を乗り切ろう。ラノベの開祖、とか超人の生みの親とか、今だに人気を保つ風太郎先生ですが、まあ書きも書いたりと言ったところでしょうか。各編に後の長編の萌芽が散見される。発表年代を考慮しつつ、当時の世相などを加味して、あれこれ想像にふけるのも、読書の楽しみである。2012/07/22
二笑亭
7
最初期に書かれた忍法帖の短篇集のため、全体的に奇想は控えめ。怪奇色の強い「忍者明智十兵衛」。徳川幕府内部の権謀術数をサスペンスフルに描いた「忍者本田佐渡守」。一部設定を変えそのまま『忍法忠臣蔵』に流用された「忍者帷子乙五郎」の3篇が個人的にお気に入り。2022/08/22




