内容説明
関ヶ原の合戦の帰趨を決する近江の鉄砲鍛冶の村国友。その取りこみを家康に命じられた伊賀の服部半蔵。国友村の実力者四人衆と半蔵の命を受けた伊賀の男女の壮絶な駆け引き……。「裏の関ヶ原」ともいうべき争いを描く表題作をはじめ歴史の影に奔放な想像力を駆使した力作四篇に文庫未収録エッセイ「忍法と剣のふるさと」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けやき
38
本篇は初めてですが作品は全て既読済み。忍法帖短篇集。4篇+ボーナストラック。「忍法小塚ッ原」が面白い。首を斬りすげ替えた時、首側と身体側のどちらの人格が表れるのか、という実験を忍法でする。つまり頭(脳)と身体のどちらに精神は宿るのか? 結局結論は分からずじまいだが面白い作品だった。2024/04/17
二笑亭
5
どれもユーモラスかつ皮肉の効いた4篇。表題作は鉄砲鍛冶・国友衆を巡る“裏関ヶ原”。ハエを使った影分身に笑ってしまうが結末は非情。「忍法天草灘」は忍法VS信仰で、ラストの『懺悔録』の引用が怖ろしい。眠りの忍法VS眠りの剣法の「忍法甲州路」は着想・筆致ともにユーモラスでグイグイ読ませる。「忍法小塚っ原」は首の入替実験がエスカレートしていき、どんどん混迷していくのに笑ってしまった。2023/08/07
チェケ
1
「忍法小塚ッ原」はオチが若干唐突だったが、4人の首、胴、心が入り乱れて訳が分からなくなるくだりは声を出して笑ってしまった。2019/01/21
unknown
1
中編を四つ収録。鉄砲鍛冶と伊賀忍者との壮絶な色欲バトル(寝取られ、逆レイプな構図もあり)が展開される『忍法関ヶ原』。忍者/忍法VS切支丹/信仰という対決の図式が描かれる『忍法天草灘』。三人の侍が遊女との交わいで三者三様の「眠りの秘剣」を閃き、三者三様の「眠りの忍法」を繰り出す忍者と相対する『忍法甲州路』。淫水を接着剤代わりにして首と胴体の入れ換え実験を行う『忍法小塚ッ原』。個人的に一番面白かったのは4つ目。ユーモラスなのに痛烈な皮肉が効きまくり。2011/01/18
kanamori
0
☆☆☆2010/10/22