内容説明
「ニンジャ」の技は世界に通ず。大老井伊直弼の密命を受け、遣米使節団の一員としてアメリカに渡る元お庭番、村垣淡路守の活躍を描く気宇壮大な表題作、東京オリンピックを忍者の闘いに見立てた幻のエッセイ「忍法金メダル作戦」を含む全七篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けやき
33
本編は初めてですが作品は全て既読済み。忍法帖短篇集。6篇+ボーナストラック。表題作の「お庭番地球を回る」は条約批准の答礼でアメリカに渡った村垣淡路守の話で、面白い。信長の「忍法死のうは一定」や相馬大作事件が絡む「怪異二丁根銃」も面白かった。2025/02/20
星落秋風五丈原
17
命を奪われる心配もなく、幸せに暮らせる平和な時代とは、本当にいいものだ。 しかし戦時こそが活躍の場だった忍者達にとっては、平和な時代は失業者続出の受難の日々である。「特技を生かした職につきたい」と職探しをしても、ぴったりなのは泥棒くらい。果ては飢えて自分の足を家族に食べさせる忍者まで出た四代将軍の治世に、伊賀組と服部組を束ねる忍者の頭領・百蔵が、二組の男女を呼び出した。内職にぴったりの忍法を教えるというのだが…。百蔵が四名の忍者に教える忍術が、皆セックス絡み。2005/03/11
浅木原
8
悲愴・凄惨よりも頭のいい頭の悪さがいよいよ前面に出てきた感じの6編。「怪異二丁根銃」における男根に関するあらゆる角度からの考察、「読淫術」の全編を貫くバカバカしさの素晴らしさに大笑い。忍法帖の本質がナンセンスギャグだとすれば末期のこのへんに至って山風自身やけっぱちになってきてることでかえって忍法帖の精髄に至ったというべきかもしれない。ある意味ニンスレ的な異文化リアリティショックの表題作、ホラー味の強い「怪談厠鬼」や「さまよえる忍者」も良くて、短篇全集の中でも満足度の高い一冊。面白かった。2016/07/28
チェケ
3
表題作はもはやコメディだった。めちゃくちゃ笑えた。「怪談厠鬼」、忍法帖で完全オカルトネタが出るのは珍しいのでは。2019/01/29
unknown
3
他の忍法帖短編と比べると趣の異なる作品多し。己から他者へ、他者から他者へと己の意識を移し操る忍法を描いた『さまよえる忍者』はアイデンティティものSFな様相だし、次から次へと展開される復讐が実に恐ろしい『怪談厠鬼』は山風先生のスカトロ志向(?)が炸裂したホラー。『怪異二挺根銃』はそのタイトル通り二丁拳銃ならぬ二丁男根の忍者を描いた内容。誰もが思いつきそうだけれども書くとなると二の足を踏みそうなネタをアッサリ忍法帖仕立てて書いちゃう山風先生にシビれるあこがれる。この剛の忍を撃破するシーンはマヌケながら見もの。2011/01/29