内容説明
家康の孫娘千姫は大坂夏の陣で愛する秀頼と引き離されてしまう。悲しみをおさえ、奔放にふるまう彼女の妖艶さは、その爪、髪、唾を与えることで刺客さえも手なずけてしまう。戦国の過酷な運命を生きる千姫と彼女をとりまく男たちの悲喜劇を描いた表題作を含む七篇に初収録のエッセイを加える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けやき
25
本篇は初めてですが作品は全て既読済み。忍法帖短篇集。7篇+ボーナストラック。どれも安心して読める山風クオリティの作品集だった。2024/04/25
星落秋風五丈原
19
「あの人物が、実は忍者だった! 」という衝撃の事実を、次々と山風が暴き、明智光秀、石川五右衛門等歴史上の有名人が、我々の前に忍者として登場した。しかし、史上最強の忍者とは、文句なしにこの方だ。徳川家康の孫にして、豊臣秀頼の妻・千姫。千姫は、彼女を崇拝する忍者達に唾、爪、髪を与える事によって、彼等を無敵にするのだ。「敵をすくめずして働かせて勝つ」柳生の活人剣の奥義を、知らずして究めている千姫と、柳生のホープ・童馬の勝負は、初めからついていたのである。2005/03/13
kazukitti
3
久し振りの忍法帖。全部読んだことない短編で、相変わらずな、そしてさすがという奇天烈エロw忍法ばっかりで楽しめた。この全集読破の方向で考えよう。2017/09/11
mak2014
3
6篇収録されている短編作品のなかでは「忍法幻羅吊り」が遊女の正体が最後まで明かされずおもしろかった。空想エッセイも楽しく読めた。2012/02/13
川島みち@原稿やれ
3
エロとグロの織り成す残酷な結末が光る短編集。面白かったのは「忍法ガラシャの棺」。忍者の名前で笑うも、美しい女の中に混ざり合った善と悪が浮かび上がるのがよかった。2016/02/18