内容説明
「……忍術と現代となんの関係があるものか。……孤独だの非情だのという形容詞をとってくっつけて、それで結びつけたつもりでいるのは抱腹させる。……なぜ無邪気なナンセンスとして面白がるだけであってはいけないのか。」(「「甲子夜話」の忍者」より)。初恋の女のために命をかけて「忍法生死人」に挑む野晒銀四郎、人形に生命を吹きこむ傀儡歓兵衛ほか、一読三嘆の忍者列伝十一篇。シリーズ第二弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けやき
40
本編は初めてですが作品は全て既読済み。1番よかったのが「忍者枝垂七十郎」。御庭番が任務に赴く際に変装する基地となる呉服屋の大丸屋の娘・お市の話。最後お市はどちらを選択するのかも気になる作品。2022/09/04
二笑亭
8
「もし歴史上の人物が忍者だったら」がコンセプトの作品が多かった1巻目『かげろう忍法帖』。対して今回の2巻目『野ざらし忍法帖』は全巻以上に奇想・異形の忍法が多数登場。先の読めない展開と仕掛け、歴史の隙間を縫う想像力がフルに発揮されて一編一編のクオリティが高い。「忍者玉虫内膳」「忍者野晒銀四郎」は背筋も凍る幕切。「忍者枯葉塔九郎」「忍者帷子万助」は奇想が光る。中でもお気に入りは「忍者傀儡歓兵衛」「忍者枝垂七十郎」。巻末には水木しげる「大いなる幻術」が併録。水木・山風ともに1922年生で今年で生誕100年。2022/08/27
伊東
3
この巻は平和な時代の忍者の話でした。戦乱時よりも忍者にとっては生きにくいというのが切ない。まだまだあるので大事に読んでいきたいと思います。仁木弾正、玉虫内善、枝垂七十郎が好きです。「甲子夜話の忍者」は作者のエッセイっぽくて少し身近に思えました。読めて良かったです。2014/10/12
Kentarou Takeuchi
1
奇想が大体マンに行き着くにも関わらず、その寂寥、悲哀、無常、心の芯をガランドウと鳴らす。さらには「甲子夜話」内で書かれる、「いやそういうのいいよ。ただオモチロイじゃダメか?」という作者の言。ぐうの音も出ない。2021/03/19
刳森伸一
1
得意のエログロを抑えた純愛もの『忍者車兵五郎』が冒頭を飾り意表を疲れたがこれこれはで良い感じ。その後はお得意の展開になるのだが、これはもう安定した面白さでいうことなし。2015/01/21