ちくま文庫<br> 太宰治全集(3)

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ちくま文庫
太宰治全集(3)

  • 著者名:太宰治【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2013/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480022530

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内容説明

昭和十四年一月、結婚して新居を構えた太宰に、初めて生活の安定と心の平和が訪れる。「僕は……この家一つは何とかして守って行くつもりだ」(「東京百景」)。規則正しい執筆生活の中から次々と作品が生まれた。八十八夜 座興に非ず 美少女 畜犬談 ア、秋 デカダン抗議 おしゃれ童子 皮膚と心 春の盗賊 俗天使 兄たち 鴎 女人訓戒 女の決闘 駆込み訴え 老ハイデルベルヒ 誰も知らぬ 善蔵を思う 走れメロス 古典風 盲人独笑 乞食学生 失敗園 一燈 リイズ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

72
結婚し、心に平安が訪れたからこその作品が殆どと言えるでしょう。規則正しい生活をし、規則正しく執筆をする。だからこそ、読んでいて安心できます。ユーモアも感じられ、後に自害する作家とは思えませんでした。2020/04/25

レアル

71
太宰が結婚して安定した生活を過ごしていたせいか穏やかな作品が多い。小説家としての書く事への愛がヒシヒシと感じられる巻でもあった。あの有名な「走れメロス」もこの時期に書かれたもの。単発で太宰の小説を読むと分からなかった一つ一つの小説の良さが分かる全集。太宰の小説は、小説というより随筆と言った方があっているような気もするので、太宰の精神状態によって作風が大きく変わってくる。合わせた訳でもないが、この年末年始に穏やかな作風の作品が読めて良かった。でも余りにも穏やか過ぎて読んだ矢先から忘れてしまいそう(笑)。2016/01/04

優希

44
結婚して初めて平安が訪れたのでしょう。規則正しい執筆からは次々と名作が生まれたように思います。様々な作風で明るい作品の数々からは、後に自殺する作家とは思えませんでした。2023/04/30

ころこ

40
『畜犬談』いつの間にかシニフィアンとシニフィエが異なっていく様が可笑しい。この後にも一人称独白小説が続く。日本人は対人関係の緊張に弱いといわれる。皆が太宰を好きなのは、それを典型的にみせてくれる存在だからだ。『皮膚と心』犬が皮膚病に代わって、その他の構成は変わらない。自分自身であって、それ故に自分自身であってはいけないもの。コンプレックスが夫婦の媒介になっている両義性を上手く描く。皮膚とは自他を分けるものだが、その皮膚を通じて他人に接触もしている。『春の盗賊』夢の中の泥棒は女房。皮膚が泥棒になっただけで、2023/04/03

Hepatica nobilis

12
『老ハイデルベルヒ』は三島の思い出を語りノスタルジック。『皮膚と心』は肌の異常に戸惑う(男の思う)女の心の動きが生々しく、寄り添う姿が美しい。『駈込み訴え』は初めて読むがユダの、狂気のように混じり合った愛憎がイエス捕縛につながるところを描く。ベタだが『走れメロス』は友情を真っすぐに語ってムダがない快作。この他にもさまざまな作品が収められていて、全部とまでは言わないが良い作品が多い。2017/11/12

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