内容説明
昭和十四年一月、結婚して新居を構えた太宰に、初めて生活の安定と心の平和が訪れる。「僕は……この家一つは何とかして守って行くつもりだ」(「東京百景」)。規則正しい執筆生活の中から次々と作品が生まれた。八十八夜 座興に非ず 美少女 畜犬談 ア、秋 デカダン抗議 おしゃれ童子 皮膚と心 春の盗賊 俗天使 兄たち 鴎 女人訓戒 女の決闘 駆込み訴え 老ハイデルベルヒ 誰も知らぬ 善蔵を思う 走れメロス 古典風 盲人独笑 乞食学生 失敗園 一燈 リイズ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
72
結婚し、心に平安が訪れたからこその作品が殆どと言えるでしょう。規則正しい生活をし、規則正しく執筆をする。だからこそ、読んでいて安心できます。ユーモアも感じられ、後に自害する作家とは思えませんでした。2020/04/25
優希
44
結婚して初めて平安が訪れたのでしょう。規則正しい執筆からは次々と名作が生まれたように思います。様々な作風で明るい作品の数々からは、後に自殺する作家とは思えませんでした。2023/04/30
ころこ
40
『畜犬談』いつの間にかシニフィアンとシニフィエが異なっていく様が可笑しい。この後にも一人称独白小説が続く。日本人は対人関係の緊張に弱いといわれる。皆が太宰を好きなのは、それを典型的にみせてくれる存在だからだ。『皮膚と心』犬が皮膚病に代わって、その他の構成は変わらない。自分自身であって、それ故に自分自身であってはいけないもの。コンプレックスが夫婦の媒介になっている両義性を上手く描く。皮膚とは自他を分けるものだが、その皮膚を通じて他人に接触もしている。『春の盗賊』夢の中の泥棒は女房。皮膚が泥棒になっただけで、2023/04/03
H2A
12
『老ハイデルベルヒ』は三島の思い出を語りノスタルジック。『皮膚と心』は肌の異常に戸惑う(男の思う)女の心の動きが生々しく、寄り添う姿が美しい。『駈込み訴え』は初めて読むがユダの、狂気のように混じり合った愛憎がイエス捕縛につながるところを描く。ベタだが『走れメロス』は友情を真っすぐに語ってムダがない快作。この他にもさまざまな作品が収められていて、全部とまでは言わないが良い作品が多い。2017/11/12
たくや
7
太宰治全集3巻目。本作に収録されている作品は、太宰治が結婚して生活に初めて安定と心の平和が訪れた時期に書かれたものだそうです。たしかにどの作品も全体的に明るさの様なものが感じられた気がします。『走れメロス』なんて実際読んでいて恥ずかしくなるくらいに真っ直ぐ。笑 他にも『畜犬談』『女の決闘』『善蔵を思う』『古典風』『失敗園』『リイズ』が特に良かったです。2019/03/19
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