内容説明
昭和十六年二月、混迷の度を深める大戦前夜、懸案の書下ろし長編「新ハムレット」の執筆にとりかかる。「三百枚くらいの予定です。当分、他の仕事は断って、没頭」(山岸外史宛書簡)した最初の長編小説は、五月末に完成。その直後、長女が誕生する。きりぎりす ろまん燈籠 東京八景 みみずく通信 佐渡清貧譚 服装に就いて 令嬢アユ 千代女 新ハムレット 風の便り 誰 恥
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
71
短編ばかり読んでいたので、『新ハムレット』が少々読みにくさを感じました。この巻では何と言っても『きりぎりす』が素晴らしいと思います。高校生の頃、現国の試験で太宰の作品名の問題に『きりぎりす』と書いたのが思い出されました。2020/04/26
Vakira
51
昭和16年、太平洋戦争勃発の頃、治さん32歳。そんな時に書かれた13編の小説集。まだ、戦争の色は濃くありません。つげ義春的な旅エッセイ風短編や童話、御伽草子の焼き直し話が多い。今回の収穫、「東京八景」「新ハムレット」が読めた事。「東京八景」では初枝ではなくシメ子と入水心中する情景が浮かびます。シメ子が最後に叫んだ人の名は治さんではなかった逸話は今回なかった。あれは「虚構の春」であったか?「新ハムレット」」はハムレットの物語としては未完な感じ。「続・新ハムレット」を読んでみたかった。2025/10/20
優希
46
大戦前後の作品集になります。『新ハムレット』が戯曲調なので読みにくかったのですが、他の仕事全てを断り書き上げた作品というのは凄いと思いました。長女も誕生し、太宰の人生で幸せの絶頂だったのではないでしょうか。作品にも落ち着きを感じます。2023/04/30
ころこ
34
『ろまん燈籠』6回の連載を乗り切るために編み出されたのであろう5兄弟の家族。解説をみると、1回だけ締め切りに間に合わなかったようだ。兄弟のナラティブだけではない、太宰の必死のナラティブのレイヤーも透けて見え、何だかドストエフスキーみたいで可笑しい。『佐渡』紀行文が上手いのは、ちょっとしたエピソードを旅の抒情にしてしまうリアリティがあるからだ。多くの学生の前で講演した『みみずく通信』の賑わいの余韻を受けている。寒村と閉鎖された金山との対照に、何も見ていなくても紀行文として成立してしまっていて不思議だ。『千代2023/04/07
H2A
16
「東京八景」ではどん底の半生を語る。まさに迫真の筆致。「ろまん灯籠」はラプンツェルの物語を物語好きの兄弟が順番に語り紡ぐものでこれも上機嫌でなかなか。「きりぎりす」「千代女」「風の便り」も良いが、「新ハムレット」はどうだろう。それなりにおもしろいのだが翻案としてもそんなに冴えを感じられなかった。違和感の方が強く感じられた。2017/10/18
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