ちくま文庫<br> 太宰治全集(8)

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ちくま文庫
太宰治全集(8)

  • 著者名:太宰治【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2013/11発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480022585

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内容説明

戦争は無条件降伏で終わった。戦前にあって既に戦後の作家であった太宰の文学が放つ、妖しくなまなましい光芒は、戦後の人々の目にいっそう鮮明に映らずにはいなかった。終戦の日、青森県金木の生家にいた太宰はただちに戦後の活動を開始した。本巻には津軽疎開中に書かれた全作品を収める。パンドラの匣 薄明 庭 親という二字 嘘 貨幣やんぬる哉 十五年間 未帰還の友に 苦悩の年鑑 チャンス 雀 たずねびと 男女同権 親友交歓 トカトントン 冬の花火 春の枯葉 メリイクリスマス ヴィヨンの妻

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

72
太宰は様々な顔を持った作家だと思わずにはいられませんでした。戦前でも戦後の色を見せていたのですね。強い意志と暗い面。それでいながら明るさをも含んでいる。それでいながら「自殺」の予感が漂っているのに言葉を失います。2020/05/13

優希

51
太宰文学の放つ世界は、戦後になり、戦前以上に注目されたのですね。戦前にして戦後の作家だったと言っても過言ではないでしょう。強い意志と暗い面を持ちながらも光るものがあるから惹かれるのだと思います。2023/04/30

ころこ

37
『パンドラの匣』「天皇陛下万歳!この叫びだ。昨日までは古かった。しかし、今日に於いては最も新しい自由思想だ。」抑圧が外れた様子が不謹慎なまでに表現されている。一方で精神病棟のような独特のコミュニケーションと、閉鎖されていることを意識させない閉鎖空間は、アメリカに占領された日本の隠喩である。旧弊からの解放と新たな鬱屈とを同時に表現した太宰は天才なのか。それとも誰もが薄々気付いていて、大本営発表に騙されたというのはウソなのだろうか。『薄明』娘の流行性結膜炎の目に人々の集合的無意識を託す。この作品の通りだとする2023/05/05

Tezukirby

10
戦後すぐに書いたパンドラの匣は、希望に満ち溢れたもので、当時の日本にこの小説を出したことで、多くの人が救われたことは、想像に難くない。そこから疎開先の故郷にて、「戦後小説」とでも言うべき内容の作品を多々執筆した。あれだけ希望に満ち溢れた小説を書いていたのに、ヴィヨンの妻、冬の花火、春の枯葉と最後の三編は、明らかに斜陽、人間失格に向かって歩いていっているのが分かり、心が苦しい。太宰治が「田舎者」「女」「主義」「自分自身」をどう見ていたのかが分かる一冊だった。2024/01/28

由萌

8
パンドラの匣、貨幣、やんぬる哉、トカトントン、ヴィヨンの妻、春の枯葉等、好きな作風のものが多かった。貨幣は、フランス語などの名詞に男女がある所を目にとめて書いたところなどの視点にびっくりした。トントン拍子で進む筆致はどんどん読まずにはいられない。面白かった。2018/01/03

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