出版社内容情報
※全巻ご予約特典の【荒木飛呂彦氏描き下ろしオリジナル図書カード】は
ウェブストアでは対象外となります。
集英社創業95周年記念企画

【総監修】
姜尚中
【編集委員】
青山亨〈東南アジア)・伊東利勝〈東南アジア〉
小松久男〈中央アジア〉・重松伸司<南アジア〉
妹尾達彦<中国>・成田龍一〈日本〉
古井龍介〈南アジア〉・三浦徹<西アジア〉
村田雄二郎<中国・李成市〈朝鮮半島〉
【装丁】
水戸部功
【カバーイラスト】
荒木飛呂彦
「アジア」と名指される広大な領域を、東西南北、古代から21世紀へと、縦横無尽に駆けめぐる。
現代のアジア史研究の第一人者である編集委員たちと、東洋史研究の伝統を継承した人々が、古代から21世紀までを展望し、圧倒的個性を掘り起こす!
編集にあたって 姜尚中 Kang Sang-jung
歴史への興味の根底には、人間への関心がある。
『史記』を「列伝」が支えるように、歴史書に力を吹き込むのも評伝である。 私たちは、誰もが内に持つ自然な好奇心に着目し、有名無名の人々の評伝を積み重ねて描く『アジア人物史』を構想した。
対象とする地域は、東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジア、西アジア、 すなわちアジアと名指される領域の全体である。
現代のアジア史研究を代表する編集委員たちが集い、数年がかりで協議を重ね、各エリアの主人公、副主人公、彼らを包み込む人々の連関性を発見し、魅力的な小宇宙を形成していった。
人物選定の際に重視したキーワードは“交流”である。
それは交易や、宗教、思想、芸術の伝播といった平和友好的なものに限らず、略奪、侵略、戦争などの激しい衝突をも含む。また、長い時を超えた“交流”もある。
私たちは、一冊の中に全地域の人物群を万遍なく配し、小宇宙同士を越境的に繋ぎ、 第一巻から最終巻まで概ね時代順に配列した。こうした構成から、縦割りの地域史とは違う“アジア通史”とでもいうべき像が、自ずと浮き彫りになるだろう。
東洋史研究の厚みを継承する人々の力を結集したこの試みが、異なる文化圏、言語圏の読者にも共有される日が来ることを願ってやまない。
【第9巻】 激動の国家建設
崔済愚、高宗、福沢諭吉、渋沢栄一、伊藤博文、後藤新平、内村鑑三、孫文、サヤーサン、ジャマール・アッディーン・アル・アフガーニー、 ムスタファ・ケマル、中央アジアの革命世代群像、他。
「月報」エッセイ・高橋源一郎
第1巻 神話世界と古代帝国
第2巻 世界宗教圏の誕生と割拠する東アジア
第3巻 ユーラシア東西ふたつの帝国
第4巻 文化の爛熟と武人の台頭
第5巻 モンゴル帝国のユーラシア統一
第6巻 ポスト・モンゴル時代の陸と海
第7巻 近世帝国の繁栄とヨーロッパ
第8巻 アジアのかたちの完成
第9巻 激動の国家建設
第10巻 民族解放の夢
第11巻 世界戦争の惨禍を越えて
第12巻 アジアの世紀へ
索引巻
内容説明
近代日本の栄光と影。最後の帝国の登場が投じた、複雑な波紋。
目次
第1章 悩める市井の思想家―東学の創始者崔済愚
第2章 朝鮮の独立と植民地化のはざまで
第3章 幕末を動かした政治思想―尊王攘夷と公議輿論
第4章 文明化と独立―福沢諭吉とその時代
第5章 日本の工業化と実業のリーダーたち―日本資本主義(第二次世界大戦前)
第6章 大いに屈する人を恐れよ―伊藤博文と憲法政治
第7章 近代日本のキリスト教知識人―内村鑑三の無教会主義と宗教的教養の時代
第8章 京都帝国大学の東洋学―アジアの再発見
第9章 未完の革命―アジア最初の共和国・中華民国の誕生と模索
第10章 東南アジアにおける「千年王国運動」的民衆反乱の時代
第11章 中東・イスラーム世界と帝国主義―アフガーニーと抵抗のネットワークの形成
第12章 近代イランにおける文人政治家とその一族―西と東と、王と民との狭間で
第13章 トルコ革命―オスマン帝国からトルコ共和国へ
第14章 二〇世紀初めの中央アジア―革命の世代の群像
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中峰和
5
西郷や大久保が明治初期に亡くなって、重しが取れたように伊藤博文が活躍する。伊藤の紹介に130頁も割いたのだから彼の重要度が分る。貧農の出だったが、運と頭脳に恵まれて出世を果たす伊藤は要領だけでのし上がったわけではない。ヨーロッパ視察によって世界の動向をつかんだ伊藤は、不平等条約から脱却するには先進国に伍する憲法を発布しなければならないと痛感する。天皇を担ぐことで維新を成功させた日本には、ヨーロッパとは違った立憲君主制を根付かせなければならない。ハルピンで暗殺された伊藤だが、安重根の誤解が元だった。2024/05/30
mori-ful
1
石川健治「大いに屈する人を恐れよー伊藤博文と憲法政治」『アジア人物史』第9巻第6章が大変面白い。130頁の力作評伝。ヨーロッパにおいて万国公法=国際法や国際社会=法共同態としての欧州→国際法共同態はいかに成立したかから解きほぐし、近代日本の血生臭い成立を追う。伊藤博文は『ザ・フェデラリスト』を座右の書としていた。「大正デモクラシーは、大正帝国主義と同時並行で進んだ」「憲法が伊藤をつくったか、伊藤が憲法をつくったか」。日本における憲法制定権力は正体がわからないと思っていたので、大変勉強になる。2024/07/10
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